はしがき
第Ⅰ部 環境メディアの理論と歴史
第1章 環境メディア研究の周縁とメディア・アジェンダ(関谷直也)
1 環境問題とメディア/ジャーナリズム研究
2 環境報道の実態論的アプローチ——環境問題の構築過程と影響過程
3 メディア/ジャーナリズムにおける「環境問題」の影響過程
4 環境報道の規範論的アプローチ——四つの規範
5 環境メディア研究における今後の課題
第2章 公害問題とジャーナリズム——1970年の意味(関谷直也)
1 戦後の環境報道——ビキニ事件と本州製紙江戸川工場暴動事件
2 第一期公害キャンペーン報道
3 第二期公害キャンペーン——「1970年」という契機
4 報道キャンペーンの内実——「疑わしきは罰す」論調と不偏不当性の失墜
5 環境庁記者クラブの発足と「自然保護」報道への移行
第3章 地球環境問題とジャーナリズム——客観・バランス報道は何をもたらすのか(瀬川至朗)
1 公害問題から地球環境問題へ
2 取材経験からみる地球環境報道の変遷
3 ジャーナリズムの規範から見た地球環境報道
4 地球環境報道の課題と求められる原則
5 環境ジャーナリズムの変革に向けて
第4章 3.11後の環境ジャーナリズム——地球温暖化報道はなぜ後退したのか(瀬川至朗)
1 京都議定書以降の地球温暖化問題
2 京都議定書以降の地球温暖化報道の特徴
3 3.11前の地球温暖化報道——関心はいつから低下したのか
4 3.11後の地球温暖化報道——「温暖化」と「エネルギー」の逆転
5 「地球温暖化と原発」に対する全国紙の態度
6 地球温暖化報道——何が求められているか
第5章 放射性物質汚染とジャーナリズム(関谷直也)
1 東京電力福島第一原子力発電所事故の特徴
2 直後の原子力事故報道への批判
3 「健康への影響」に関する報道
4 「放射線量」の報道
5 議題の多様性
6 放射性物質汚染と消費行動——いわゆる「風評被害」の問題
7 「放射性物質汚染報道」研究の必要性
第Ⅱ部 各種の環境問題とメディア
第6章 「輸入された」地球温暖化問題——社会的な構築過程に見る外からの影響(永井健太郎)
1 社会問題としての地球温暖化
2 社会問題とは何か?
3 地球温暖化が社会問題になるまで
4 国際政治のアリーナでの注目
5 外からの圧力による社会問題化
第7章 地球温暖化へのメディア・アテンション——科学より重視される政治(永井健太郎)
1 メディアの注目
2 記事内容とソース
3 科学より政治に注目
第8章 環境NGOとメディア——気候変動法の制定過程におけるFoE UKのコミュニケーション戦略(齋藤さやか)
1 「気候変動法」の制定と環境NGOのコミュニケーション戦略
2 The Big Askキャンペーンの背景・前期
3 The Big Askキャンペーン・後期
4 環境NGOのコミュニケーション戦略の検証と考察
第9章 気候変動におけるメディアと政策のはざま——ガバナンスの視座から再考するメディア言説の政治性(朝山慎一郎)
1 「人為紀」としての気候変動——近接する政治とメディア
2 気候科学のメディア表象のポリティクス——米国・欧州・日本
3 グローバルとローカルの境界——ナショナル化される気候変動
4 “分断”を超えて——メディアと政策の統合への課題
第10章 COP10・生物多様性の報道を振り返る——「地球生きもの会議」の不都合な真実(香坂 玲)
1 「地球生きもの会議」と国益の交渉のはざまで
2 気候変動と生物多様性の交渉に関わる過去の分析から
3 記事に関する定量的結果
4 記者へのヒアリングの定性的結果
5 COP10報道を振り返って見えてきた「不都合な真実」
あとがき
索 引