まえがき
第1章 〈ドイツ〉とは
――アイデンティティと多様性
1 ドイツ語──造語力に裏打ちされた文化言語
2 河川と海──結びつける・隔てる
3 森──ドイツ人の心の故郷
4 連邦制──中心のない国
5 西ドイツと東ドイツ──再統一まで
6 キリスト教──生活・社会・文化の基盤
7 カカーニエン──諸民族の方舟,オーストリア
8 ユダヤ人──ドイツ文化の陰画
9 移民──多様化する社会と文化
10 亡命──国を追われた人々
11 スイス──ウィリアム・テルの末裔の国
〈コラム①ソルブ人〉
第2章 社会制度――変わるもの,変わらないもの
12 家族──近代家族を超えて
13 幼稚園キンダーガルテン──「子どもの庭」の社会史
14 ギムナジウム──エリート養成から開かれた教育へ
15 大学──「学校」からの自由
16 マイスター制度──ドイツのものづくり
17 郵便──ドイツ生まれの情報伝達システム
18 ポリツァイ──「統治」から「警察」へ
〈コラム②EUのなかのドイツ〉
第3章 記憶と記録
19 博物館と美術館──収集と秩序づけの空間
20 図書館──本を愛した領主たちの遺産
21 記念碑──忘却と想起のあわいで
22 グリム兄弟──法・言語そして歴史
23 〈ロマンチック街道〉──演出された中世
24 ヴァイマル──人文的ドイツの光と影
25 ナチズム──写真集にみるヒトラー
26 「過去の克服」──戦後ドイツの軌跡
27 オスタルギー──統一後の苦難,東ドイツ時代への郷愁
〈コラム③日独文化交流〉
第4章 ことばと思考
28 啓蒙──「律すること」の探求
29 ロマン主義──合わせ鏡のなかの無限
30 ゲーテ──「文明」を象徴する人
31 ニーチェ──内側から爆発する「ダイナマイト」
32 世紀末──一九世紀への反動
33 暗い時代の人々──危機と救出
〈コラム④詩人の恋――バッハマン,ツェラン,フリッシュ〉
第5章 メディアと技芸(クンスト)
34 中世──声と文字の紡ぐ多様な文芸世界
35 書物──ヨーロッパを分裂させ,結びつけた発明
36 朗読──響く声,耳を澄ます人々
37 ジャーナリズム──言論とメディア
38 演劇──旅まわり一座の時代から現代の公共劇場制度まで
39 ウィーン・フィルとベルリン・フィル──覇を競う好対照
40 バイロイト音楽祭──総合芸術の夢
41 テクノ──闘争の音,ベルリンの壁
42 ベルリン映画祭──都市の歴史とともに
43 研究所インスティテュート──「ドイツ科学」を支えたもの
44 ドクメンタ──現代アートの断面図
〈コラム⑤おもちゃの文化史〉
第6章 暮らしと文化
45 クリスマスと復活祭──冬至の太陽,春の曙
46 ブンデスリーガ──連邦と自治体を結ぶスポーツ文化
47 アウトバーン──ヒトラーの号令一下
48 自然療法──もうひとつのドイツ医学
49 エコロジー──歴史とさまざまな取組み
50 市民農園クラインガルテン──「小さな庭」の大きな役割
51 住まい──「居心地のよさ」のかたちの変遷
52 広場──ドイツの歴史,文化,そして文学の舞台
53 ソーセージとケバブ──伝統へのこだわりと新しい味の受容
54 ビール──ドイツの誇りと意地
55 南への憧れ──ドイツ人とイタリア
〈コラム⑥スウィーツ〉
参考文献/写真・図版出典一覧/索引