比較政治学のフロンティア
21世紀の政策課題と新しいリーダーシップ
編著:岡澤 憲芙
内容紹介
比較政治学の意義を問い、その今後を展望
目次
はじめに
序 章 比較政治学の発展(岡澤憲芙)
1 比較政治学などない
2 情報過程の貢献
3 デモクラシーと平和―比較政治学発展の最大要因
4 情報市場の拡大
5 旺盛な好奇心がバネ
6 本書の構成と狙い
7 足蹠を追う・フィールドに立つ
第1部 デモクラシーの現在・未来
第1章 グローバル化時代の民主主義(猪口 孝)
1 グローバル化時代の民主主義
2 代表制民主主義の百家争鳴時代
3 満身創痍の「代表制民主主義」に対する不満
第2章 新しい福祉政治と対立軸(宮本太郎)
1 瓦解する社会と福祉政治
2 新しい福祉政治の条件
3 新しい対立軸と政治過程
第3章 民主主義の計量分析(小林良彰)
1 代議制民主主義の「質」
2 分析データ
3 代議制民主主義の「民意負託機能」の検証
4 代議制民主主義の「代議的機能」の検証
5 代議制民主主義の「事後評価機能」の検証
6 代議制民主主義の機能不全
第4章 エリート理論とデモクラシー(池谷知明)
――グイード・ドルソの政治階級論
1 デモクラティック・エリーティスト
2 モスカの政治階級論とデモクラシー
3 ドルソの政治階級論
4 ドルソとイタリア政治・政治学
第2部 デモクラシーと議会政治
第5章 憲法と近代政治制度(小林幸夫)
――憲法規範と憲法現実の絡み合い
1 政体書、すなわち憲法
2 20世紀憲法への展開に乗り遅れたフランス憲法
3 成文憲法絶対視の法実証主義自滅の戦間期
4 西欧近代の精神風土、科学技術発展という条件的特殊への注目
5 フランス憲法学へのアメリカ政治学の影響はきわめて限定的
6 フランス憲法史は、憲法展示流転の憲法見本帳か
第6章 比較議会政治学(大山礼子)
――議会の「強さ」を決定する条件とは?
1 議会を比較する
2 執政府との関係
3 両院関係
4 比較の視点から見た日本の国会
第7章 大統領制・首相制の比較政治学(大谷博愛)
1 統治システムを比較する
2 元首の地位と機能
3 統治形態の4類型
4 大統領の選出とその地位
5 首相の選出とその権限
6 立法府と行政府の関係
7 日本の議院内閣制
第8章 マス・メディアの政治的効果(岩渕美克)
1 メディア政治の時代
2 メディアの政治的効果に関する研究
3 現代におけるメディア・キーワードの政治的効果
4 メディア政治の課題と展望
第9章 比較の中の地域民主主義とローカル・ガバナンス(新川達郎)
1 ローカル・ガバナンスに関する比較研究の可能性
2 発展途上国のローカル・ガバナンスの比較研究
3 先進工業諸国とローカル・ガバナンスの比較研究
4 ローカル・ガバナンスの国際比較の視点
5 比較の中の日本の地方自治
6 ローカル・ガバナンスの行方
第10章 政権交代と社会保障政策(山井和則)
1 スウェーデンとの出会い――福祉の充実に政治が不可欠
2 政権交代で社会保障予算が16%増
3 消費税増税の決断
4 消費税の増収分は子育て支援の充実に
第11章 政権交代の史的分析(小西德應)
――戦前期における首相選出過程
1 分析対象と課題
2 通史と時代区分
3 政権交代のアクター
4 得られた知見とそれによって見る現状
第3部 デモクラシーと市民社会
第12章 市民参加とガバナンス(坪郷 實)
――市民のエンパワーメント
1 参加ガバナンスの視点
2 エンパワーメントする参加ガバナンス
3 市民参加のレパートリー
第13章 少子高齢社会を踏まえた比較福祉の方法(久塚純一)
――日仏比較研究を手掛かりに
1 比較福祉の留意点
2 「比較の妥当性」と「概念・翻訳・抽象化」
3 「比較のための時間軸」と「比較の着眼点と論じ方」
4 比較における「歴史的経緯」
5 比較福祉のための圏域-国境
第14章 現代コミュニタリアニズムの政治学(菊池理夫)
1 現代コミュニタリアニズムとは
2 現代コミュニタリアニズムに対する「常識」
3 実践哲学としての「共通善の政治学」
4 「応答するコミュニタリアン綱領」とコミュニタリアン憲政論
5 市場主義批判のために
第15章 現代労働政治研究の外延(篠田 徹)
1 メシア的労働運動
2 労働政治研究のグローバル化
3 古くて新しい労働政治のエージェント
4 さまざまな労働運動
5 Food Studies
第16章 少子高齢社会と市町村福祉行政のあり方(長倉真寿美)
1 高齢者保健福祉の在宅化・地域化
2 介護保険サービスの利用状況と地域格差
3 市町村をめぐる変化
4 地域包括ケアシステムの実現に向けて
第4部 グローバル化時代の行政学
第17章 グローバル化時代の統治機構のあり方(佐々木信夫)
――日本型「州構想」をめぐって
1 グローバル化時代と集権体制
2 中央集権から地域主権へ
3 道州制の経緯と構想
4 道州制をめぐる論点
5 道州制の導入――阻む高い壁
第18章 日米安保体制と沖縄(江上能義)
1 米軍再編の動向
2 冷戦終結後の沖縄
3 稲嶺保守県知事の誕生と海上基地容認
4 仲井真県知事再選と辺野古移設反対の稲嶺名護市長の登場
5 2014年前後の転換期の動向
第19章 日本スポーツ行政のフロンティア(中村祐司)
――2020年東京五輪・復興五輪事業に注目して
1 スポーツ事業におけるスポーツ行政の役割
2 スポーツ事業におけるステージと機能的特質
3 東京五輪事業における共生社会の萌芽
4 復興五輪事業をめぐる協働社会の萌芽
5 スポーツ行政フロンティアの実践を
第20章 2050年に向けた観光政策(藤本祐司)
1 人口減少が観光に及ぼす影響
2 訪日外客の観光需要の拡大
3 高齢者の観光需要の拡大
4 若年・中堅層の観光需要の拡大
5 観光需要拡大への展望
第21章 民主的な都市ガバナンスの可能性(岡本三彦)
――住民参加の都市間比較
1 都市ガバナンスと住民参加
2 ローカル・デモクラシーと都市の政治機構
3 自治体議会議員の住民参加に対する意識
4 都市における住民参加と都市ガバナンス
5 参加の範囲とさらなる課題
第22章 ドイツにおける住民投票(野口暢子)
――「もっと民主主義を!」
1 1990年代以降のドイツにおける住民投票
2 州民発議・州民投票、住民発議・住民投票制度の導入
3 直接民主的制度の拡充と「ランキング」の存在
4 「もっと民主主義を!」
第5部 グローバル化時代の国際政治
第23章 グローバリゼーション下の中国とアフリカ(青木一能)
1 冷戦後の新たな状況
2 グローバリゼーションと中国
3 中国・アフリカ関係の継続と変化
4 ワシントン・コンセンサスと北京コンセンサスの乖離
第24章 グローバリゼーションと日本の外交戦略(片岡貞治)
1 国際社会と外交
2 国際社会の秩序の変遷
3 グローバリゼーションと情報革命
4 新興国の台頭と国際秩序
5 日本が取るべき外交戦略
第25章 「安全保障共同体」としてのEU(中村英俊)
――2012年ノーベル平和賞受賞の意義
1 EUと平和・安全保障
2 ノーベル平和賞の歴史
3 EU受賞の意義
4 「安全保障共同体」概念と1950年代の「ヨーロッパ統合」
5 「ヨーロッパ統合」の歴史・現状と今後の課題
6 ノルウェー・ノーベル委員会による決定の意義
第26章 グローバル化時代の安全保障(金子 讓)
1 冷戦の終焉と安全保障の新たな課題
2 グローバル化世界と安全保障の新たな課題
3 リスク社会の安全保障
第27章 日欧交流史(松園 伸)
1 明治近代化以前の日欧交流
2 現代における日欧交流史の課題
おわりに――地球儀を抱いてフィールドへ
人名索引/事項索引
ISBN:9784623072019
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:384ページ
。定価:6500円(本体)
。発行年月日:2015年01月
。発売日:2015年01月31日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP。