はじめに
序 章 ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴとは何か
1 イギリスのニュー・シネマ
2 ドキュメンタリーとリアリズムの諸概念
3 ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴの余波と拡がり
第Ⅰ部 フリー・シネマとイギリスのドキュメンタリー運動
第1章 イギリス国民の表象
——ドキュメンタリー運動からブリティッシュ・ニュー・ウェイヴまで
1 イギリス祭とイギリス
2 『ファミリー・ポートレイト』の対位法
3 ジェニングズからフリー・シネマへ
4 イギリス映画協会の革新とフリー・シネマの誕生
5 フリー・シネマとニュー・レフトの「人民戦線」
6 『ロンドンの夜明け前』とグリアソンの影
7 フリー・シネマの終わりとブリティッシュ・ニュー・ウェイヴのはじまり
第Ⅱ部 ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴとリアリズムの諸問題
第2章 『土曜の夜と日曜の朝』の複眼的リアリズム
1 労働者階級のリアリズム
2 『俺たちはランベス・ボーイだ』とホガートの公開書簡
3 ポートレイトとしての『土曜の夜と日曜の朝』
4 メリーゴーラウンドのミザンセン
5 ライスの複眼的なリアリズム
6 労働者階級のリアリズムの未来
第3章 『長距離走者の孤独』における風景のリアリズム
1 リアリズムとは何か
2 ヒグソンの「詩的なリアリズム」批判
3 弁証法としてのリアリズム
4 リチャードソンの詩的なリアリズムの行方
5 田舎と都市の表象——ユートピアと現実の狭間で
6 塀の中/外の空間表象
7 トラッキング・ショットと権力空間の撹乱
8 「エルサレム」と政治的なリアリズム
第4章 方法としてのフラッシュバック
——『孤独の報酬』における感情の風景
1 アンダーソンと『孤独の報酬』——イギリス映画の革新性について
2 イギリスのアントニオーニ
3 悲劇としての『孤独の報酬』
4 演劇的なものと映画的なものの共生
5 フラッシュバックの神話
6 アンダーソンの感情的な風景
7 方法としてのフラッシュバック
8 抑圧されたものの回帰
第Ⅲ部 スウィンギング・ロンドンの政治学
第5章 真面目な事柄についてのコメディ
——『モーガン』と表象の政治学
1 アドマスのアルファヴィル
2 イギリス映画の「スタイル」批判とその政治的、社会的文脈
3 ニュー・レフトのジュリエッタ
4 ポピュラー・アートの可能性——スチュアート・ホールという補助線
5 真面目な事柄についてのコメディ
6 空想と現実の弁証法
7 キング・コングの復讐とモーガンの粛正
第6章 『if もしも…』における抵抗とコラージュの美学
——叙事映画と帝国の表象
1 帝国映画とは何か
2 ブレヒト的映画
3 権力と抵抗のアレゴリーとしての『if もしも…』
4 叙事映画と分割の政治学
5 アンダーソンと映像の過剰
6 アンダーソンとコラージュの美学
7 コラージュの美学と結合の政治学
8 「ただ結びつきさえすれば」
第Ⅳ部 イギリス映画とメタフィクション
第7章 悟りの瞬間
——『オー! ラッキーマン』とメタフィクション
1 叙事詩としての『オー! ラッキーマン』
2 ロード・ムーヴィーとしての『オー! ラッキーマン』
3 「悟りの瞬間」の言説とその袋小路
4 サイレント映画のメタフィクション的作用
5 ドキュメンタリーとメタフィクション
6 「誰もが変化している」——映画の原理としてのダブリング
7 アンダーソンのヒューマニズムの行方
第8章 『フランス軍中尉の女』と時間性のモンタージュ
1 へリテージ映画の余白に
2 翻案者の論理——『フランス軍中尉の女』の間テクスト性
3 三点確保——『フランス軍中尉の女』の物語
4 感情の弁証法としての時間性のモンタージュ
5 時間性のモンタージュと二つの恋の行方
6 映画の領分
註
参考文献
初出一覧/使用楽曲一覧
おわりに
人名索引/映画タイトル索引