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現代物理学の思想 新装版

原案:W・ハイゼンベルク
訳:河野伊三郎
訳:富山小太郎

紙版

内容紹介

 「現代物理学の最近の発展へのこの烈しい反動は、いま物理学の基礎が動き始めたこと、さらに、この動きは基盤が科学から切りはなされるのではないかという感じを起させたことをはっきり認める場合にだけ理解される。同時におそらく、この新たな情勢について語るべき正しい言語がまだ見いだされていないことを意味する。現代の進歩した実験の技術は、科学の視界に常識の言葉では記述ができない自然の新しい面をもちこんだ。しかしそれならば、どんな言葉で記述すべきなのであろうか。このような記述は、果してどの範囲まで可能であろうか。人は原子自体について語ることができるだろうか。」(本書より)
 時間、空間、実在など、現代物理学の概念は、伝統的な哲学から、どのようにして発展してきたのか。また量子の世界の現象を、言語によりどこまで正確に記述できるのか。ノーベル物理学賞を受賞した、量子力学の開拓者が考察する。

目次

第一章 古い伝統と新しい伝統
第二章 量子論の歴史
第三章 量子論のコペンハーゲン派の解釈
第四章 量子論と原子科学の根源
第五章 哲学的観念の発展と量子論
第六章 自然科学の他の部門と量子論
第七章 相対性理論
第八章 コペンハーゲン派の解釈の批判
第九章 量子論と物質の構造
第十章 現代物理学における言語とリアリティ
第十一章 人間の思考における現代物理学の役割

訳者あとがき

著者略歴

原案:W・ハイゼンベルク
(Werner Karl Heisenberg)
1901年、ドイツのヴュルツブルグに生れる。ミュンヘン大学でゾンマーフェルトのもとで物理学を学び。コペンハーゲンでニールス・ボーア研究所に入り、さらにゲッティンゲン大学でポルンと共同研究を行ない、1925年、量子力学を創始した。27年、不確定性原理を発見、同年ライプチヒ大学教授。多体問題の研究から進んで、1928年強磁性の本質を明らかにし、29年にはパウリと共に場の量子論を発表、相対性量子力学をつくった。32年、原子核が中性子と陽子からなるという理論を発表、その他、宇宙線理論、超伝導の研究などにも業績を残している。1932年ノーベル物理学賞受賞。1976年歿。著書『自然科学的世界像』(1953、1979)『量子論の物理的基礎』(1954)『原子核の物理』(1957)『素粒子の統一場理論』(1966)『部分と全体』(1971)『科学における伝統』(1977)(以上邦訳、みすず書房)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
訳:河野伊三郎
(こうの・いさぶろう)
1905年神奈川県に生れる。1929年東京大学理学部数学科卒業。元東京医科歯科大学教授。1994年歿。著書『概週期関数論』『位相空間論』ほか。訳書 ポアンカレ『科学と仮説』ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
訳:富山小太郎
(とみやま・こたろう)
1902年福島県に生れる。1925年東京大学理学部物理学科卒業。元早稲田大学教授。1972年歿。著書『現代物理学の論理』『物理学への道』ほか。訳書 ヴァイツゼッカー『原子力と原始時代』ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

ISBN:9784622096450
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:232ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PH