出版社を探す

構造人類学 新装版

原案:クロード・レヴィ=ストロース
他訳:荒川幾男
他訳:生松敬三

紙版

内容紹介

レヴィ=ストロースは、マルクスの有名な定式〈人間は自分の歴史をつくる。けれども歴史をつくっていることを知らない〉を引用し、前半の言葉で歴史学を、後半の言葉で民族学を正当化し、二つのアプローチは補完的で分ちがたいものであることを示しているといい、人類学の目的は、意識されない思惟の普遍的構造を明らかにし、人間への全体的考察に寄与することにあると述べている。
この目的を果すために、無意識な言語活動に音韻上の体系をもたらした構造言語学の成果や数学の変換理論を人類学に適用することは、レヴィ=ストロースによりはじめて、ひとつの力をもった方法として確立した。本書は、未開社会の親族関係、社会組織、宗教、神話、芸術に構造分析の軌跡を具体的に例示した、構造主義人類学のマニフェストというべき画期的論文集。後半の諸章における人類学の方法と人類学教育の現状と未来についての考察も、きわめて示唆に富むものである。
〈レヴィ=ストロースは、創造的芸術家や精神分析の冒険者と同じ精神行為を内包する、トータルな仕事としての人類学を創造した。〉(スーザン・ソンタグ)

目次

はしがき

序 (生松敬三訳)
第1章 歴史学と民族学

言語と親族 (佐々木明訳)
第2章 言語学と人類学における構造分析
第3章 言語と社会
第4章 言語学と人類学
第5章 第3章、第4章への追記

社会組織 (生松敬三訳)
第6章 民族学におけるアルカイスムの概念
第7章 中部および東部ブラジルにおける社会構造
第8章 双分組織は実在するか

呪術と宗教 (田島節男訳)
第9章 呪術師とその呪術
第10章 象徴的効果
第11章 神話の構造
第12章 構造と弁証法

芸術 (荒川幾男訳)
第13章 アジアとアメリカの芸術における図像表現の分割性
第14章 魚のつまった胴体をもつ蛇

方法と教育の諸問題 (川田順造訳)
第15章 民族学における構造の観念
第16章 第15章への追記
第17章 社会科学における人類学の位置、および、人類学の教育が提起する諸問題

〈訳者あとがきに代えて〉人類学の視点と構造分析 (川田順造)
文献
索引

著者略歴

原案:クロード・レヴィ=ストロース
1908年11月28日ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。1935年、新設のサン・パウロ大学に社会学教授として赴任、人類学の研究を始める。1941年からニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで文化人類学の研究に従事。1947年末パリに戻る。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。1973年アカデミー・フランセーズ会員に選出される。1982年コレージュ・ド・フランス退官。2008年プレイヤード叢書(ガリマール社、フランス)全1冊の著作集Œuvres刊。2009年10月30日、100歳で逝去。著書『悲しき熱帯』(1955)〔全2巻、中央公論社、1977、中公クラシックス、2001〕、『野生の思考』(1962)〔みすず書房、1976〕、『神話論理』四部作『生のものと火を通したもの』(1964)〔みすず書房、2006〕『蜜から灰へ』(1966)〔みすず書房、2007〕『食卓作法の起源』(1968)〔みすず書房、2007〕『裸の人』(1971)〔二分冊、みすず書房、2008/10)他。
他訳:荒川幾男
(あらかわ・いくお)
1926年生。東京大学文学部哲学科卒業。元東京経済大学教授。2005年歿。著書『三木清』(紀伊國屋書店、1968)。訳書 ヒューズ『意識と社会』(1970)同『ふさがれた道』(1970)同『大変貌』(以上共訳、1978)レヴィ=ストロース『人種と歴史』(1970)マーティン・ジェイ『弁証法的想像力』(以上、みすず書房、1975)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
他訳:生松敬三
(いきまつ・けいぞう)
1928年生。東京大学文学部哲学科卒業。元中央大学教授。1984年歿。著書『思想史の道標』(勁草書房、1965)『書物渉歴』(みすず書房、1984)。訳書 カッシーラー『象徴形式の哲学』(竹内書店、1972)ウェルズ『影のなかのロシア』(共訳、みすず書房、1978)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

ISBN:9784622096238
出版社:みすず書房
判型:A5
ページ数:498ページ
定価:7200円(本体)
発行年月日:2023年05月
発売日:2023年05月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC