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ヨーロッパの極右

著:ジャン=イブ・カミュ
著:ニコラ・ルブール
監:南祐三

紙版

内容紹介

世界が右傾化するなか、極右は政治を語る上で欠かせないものとなった。ヨーロッパ各国でさまざまな極右勢力が台頭し、人々をひきつけている。  
ヨーロッパの極右はどのように誕生し、定着したのか。いかなる活動を展開してきたのか。
排外主義、自国中心主義、強権的な指導者を特徴とする極右は、その単純な見た目とは裏腹に、多種多様な背景をもっている。伝統的な保守派、急進的な革命派、グローバルな交流、サブカルチャーなど、その姿をとらえることは容易ではない。
極右研究のスペシャリストである著者たちは、ナチズムとの関係、新右翼、宗教、ポピュリズムなどの切り口から、極右の諸相を紐解いていく。
極右が問題視されるのは、選挙という民主主義の手続きによって政治に躍り出たことが大きいが、極端な主張を現実的なものに調整すると求心力を失うというジレンマも抱えている。
19世紀から現在まで、ヨーロッパ各国からロシアにかけて根深く息づく極右の歴史に光を当て、その実態を明らかにする。極右を理解する上で欠かせない一冊。

目次

第一章 極右はいかにして誕生したのか
反動と反革命/ナショナリズムと社会主義/複数のファシズム/多様な急進化/第三帝国のヨーロッパ新秩序/新しい波/現在

第二章 ファシズムの後に何をすべきか
ナチズムの再評価/イタリアの実験/ヨーロッパ・ナショナリズム/ナチズムから新人種主義へ/青年ヨーロッパ/1968年5月への抗議運動

第三章 ホワイト・パワー
大西洋を越えたセクト主義/極右のスキンヘッド/暴力、急進化、ポピュリズム

第四章 新右翼
新右翼現象の柔軟性/新右翼とヨーロッパ・ナショナリズム/ユーロリージョナリズム/(複数の)サブカルチャー/アイデンティティ運動のアイデンティティとは何か?

第五章 宗教的アンテグリスム
一つの信仰、複数の路線/国民戦線(FN)の文脈におけるアンテグリスム/支持者たる信徒たちの道

第六章 ポピュリスト政党
インサイダーとアウトサイダー/ナショナル・リベラル的な批判/ネオポピュリズムへの変容/なぜポピュリズムなのか?

第七章 東では何が起こっているのか?
ロシア――ナショナル・ボリシェヴィズムからネオ・ユーラシア主義へ/プーチンの時代/ロシアの隣接諸国/中東欧における再編と連続性

終章 極右は終焉するか


謝辞
監訳者解題
原註
事項索引
人名索引

著者略歴

著:ジャン=イブ・カミュ
(Jean-Yves Camus)
1958年生。政治学者。専門はヨーロッパにおけるナショナリズムおよび極端主義。国際関係戦略研究所(IRIS)研究員。著書に『今日の極右』(1997)、『ヨーロッパにおける極端主義者たち』(1997)、『国民戦線――歴史と分析』(1997)、『国民戦線』(1998)、『フランスにおける極端主義――恐れるべきか?』(2006)、『極右辞典』(2007)(いずれも未邦訳)などがある。
著:ニコラ・ルブール
(Nicolas Lebourg)
1974年生。歴史学者。モンペリエ大学ラテン・ヨーロッパ政治学センター(CEPEL)研究員。専門はフランス極右および政治的暴力の歴史。著書に『最も極端な右翼からみた世界――ファシズムから革命的ナショナリズムまで』(2010)、『フランソワ・デュプラ――国民戦線を作り上げた男』(2012)、『ルペンの陰で――国民戦線ナンバー・ツーたちの歴史』(2012)、『国民戦線の根源に――新秩序運動の歴史』(2014)、『ナチは生き延びたのか?――ファシスト・インターナショナルおよび白人種十字軍についての研究』(2019)(いずれも未邦訳)などがある。
監:南祐三
(みなみ・ゆうぞう)
1979年生。早稲田大学大学院文学研究科史学(西洋史)専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、南山大学国際教養学部准教授。専門は第三共和政のフランス右翼ナショナリストの思想と活動。著書に『ナチス・ドイツとフランス右翼――パリの週刊紙『ジュ・スイ・パルトゥ』によるコラボラシオン』(彩流社 2015)、『新しく学ぶフランス史』(共著、ミネルヴァ書房 2019)、訳書にルソー『過去と向き合う――現代の記憶についての試論』(共訳、吉田書店 2020)、エヴァンズ『力の追求――ヨーロッパ史1815-1914』(共訳、白水社 2018)などがある。

ISBN:9784622095910
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:432ページ
定価:5400円(本体)
発行年月日:2023年04月
発売日:2023年04月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH