出版社を探す

エリア随筆抄【新装版】

著:チャールズ・ラム
訳:山内義雄
解説:庄野潤三

紙版

内容紹介

F・ベイコン以来の長い伝統を誇るイギリス・エッセイ文学の完成者として知られるチャールズ・ラム。その作品は『エリア随筆集』正・続2作に輝き、わが国の英文学者にも最も愛されてきた。

「一種の象眼細工のような趣」(戸川秋骨)、「極めて精緻な用意を以て成る……技巧の神」(平田禿木)、「天下無類の書物」(林達夫)、「至芸の文体」(平井正穂)——これらの賛辞に埋め尽くされた作品は、逆に読者を寄せ付けなくしているのではないだろうか。

〈自身が事務机となり、机が私の魂の中に食いこん〉だ、30余年にわたるサラリーマン生活の余暇に書きためられたエッセイ、それが『エリア』でもある。
〈花の都ロンドンで、私はサラリーマン〉を一途に勤めあげた、ラムの日々のつぶやきの結晶が、この作品でもあるのだ。

目次

南海商会
除夜
ヴァレンタイン・デイ
私の近親
はじめての芝居見物
現代の女性尊重
食前感謝の祈り
幻の子供たち——夢物語
煙突掃除人の讃
豚のロースト談義
H——シャーのブレイクスムア
書物と読書についての断想
懐かしのマーゲイト通いの船
年金生活者
婚礼
古陶器

あとがき
訳注
略譜
ラムとのつきあい  庄野潤三

著者略歴

著:チャールズ・ラム
(Charles Lamb)
1775-1834。イギリス・ロンドンのエッセイスト。筆名エリアElia。82-89年クライスト学院に在学。89-1825年、南海商社のちに東インド会社に勤務。96年、友人コールリッジのPoems on Various Subjectsにソネット4編を収める。98年、彼の詩のなかで最も有名な ’The Old Familiar Faces’ を含む詩集Blank VerseをCharles Lloydと出版。1807年、姉メアリイと『シェイクスピア物語Tales from Shakespeare』刊行。London Magazine誌のスタッフとして寄せたエッセイを、23年に『エリア随筆集(Essays of) Elia』、33年には『続エリア随筆集The Last Essays of Elia』として刊行する。
95年末から翌年初めまで、失恋の悲しみから入院。96年、姉メアリイは発作から母親を刺殺。チャールズは、この姉の保護に献身して生涯独身を通し、姉もまた弟チャールズに報いた。
訳:山内義雄
(やまうち・よしお)
1905-1968。愛媛県生まれ。東京大学文学部英文科卒業。明治大学教授。訳書 ベネット『文学趣味』、ハーディ『テス』、ホワイト『セルボーンの博物誌』、ラム『ユリシーズの冒険』他。
解説:庄野潤三
(しょうの・じゅんぞう)
1921(大正10)-2009。大阪府生まれ。九州大学東洋史学科卒業。1955年(昭和30)『プールサイド小景』により芥川賞受賞。61年(昭和36)『静物』により新潮社文学賞受賞。65年(昭和40)『夕べの雲』により読売文学賞受賞。日本芸術院会員。

ISBN:9784622090960
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2900円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:DS