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革命論

著:ハンナ・アーレント
訳:森一郎

紙版

内容紹介

〈人間はそれ自身、一個の新しい始まりとして世界の内に現われるが、だからこそ、この誕生性ゆえに人間には行為という天分が与えられたのである。というのも、どんな行為も、つまり「何かを動かす」という根源的な意味でのどんな「活動する」ことも、始める者たちという観念を、いやそれどころか始める者たちの実存を、前提しているからである。歴史上の時間が連綿と続くなかで新しい始まりが生ずる、ということを最終的に告げ知らせてくれるものこそ、革命にほかならない〉

アメリカ革命とフランス革命の考察を中心に、創設の意味、代表制や評議会制のあり方など、「新しい始まりはいかにして生じるか」という著者の根本的問題意識が全体を通底する主著の一つ、『革命について』のドイツ語版からの新訳である。アーレント自身が英語から母語に翻訳したドイツ語版からの邦訳刊行は、著者の思考をより生き生きと伝えるものとして、本書およびアーレント理解に大いに貢献するだろう。

目次

凡例
序論 戦争と革命
第一章 歴史的背景
第二章 社会問題
第三章 「幸福の追求」
第四章 創設――自由の構成 CONSTITUTIO LIBERTATIS
第五章 時代の新秩序 NOVUS ORDO SAECLORUM
第六章 革命の伝統と、革命精神
原注
訳注
訳者あとがき
事項索引
人名・著作名索引

著者略歴

著:ハンナ・アーレント
1906-1975。ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得、その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される。著書に『アウグスティヌスの愛の概念』(1929、みすず書房2002)『全体主義の起原』全3巻(1951、みすず書房1972、1974、2017)『人間の条件』(1958、筑摩書房1994、ドイツ語版『活動的生』1960、みすず書房2015)『エルサレムのアイヒマン』(1963、みすず書房1969、2017)『革命について』(1963、筑摩書房1995、ドイツ語版『革命論』1965、みすず書房2022)など。
訳:森一郎
(もり・いちろう)
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在 東北大学情報科学研究科教授。著書に『死と誕生』『死を超えるもの』(以上、東京大学出版会、2008、2013)『世代問題の再燃』(明石書店、2017)『ハイデガーと哲学の可能性』(法政大学出版局、2018)『ポリスへの愛』(風行社、2020)ほか.訳書にアーレント『活動的生』(みすず書房、2015)、ニーチェ『愉しい学問』、ハイデガー『技術とは何だろうか』(以上、講談社、2017、2019)ほか。

ISBN:9784622090793
出版社:みすず書房
判型:A5
ページ数:488ページ
定価:6500円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JBF