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ヒューマニズムとテロル【新装版】

共産主義の問題に関する試論

著:モーリス・メルロ=ポンティ
訳:合田 正人

紙版

内容紹介

自由主義陣営と暴力的な共産主義という図式が流布していた1947年に書かれた本書は、ベルリンの壁とソ連崩壊後に生きるわれわれに何を投げかけてくるのだろうか? 批判的考察の対象とされているのは、1940年代に書かれたケストラーの作品、そして1938年のモスクワ裁判である。今では遠ざかってしまった時代のこうした事柄をとりあげた本書を、しかし一貫して流れているのは「暴力とは何か」という、まさに今日的な問題である。

「絶対的非暴力は結局のところ、すでにでき上がった世界、それもうまくでき上がった世界という観念に立脚している。」
「われわれは純粋さと暴力のあいだで選択するのではなく、多様な種類の暴力のあいだで選択するのである。われわれが受肉している限りで、暴力とはわれわれの宿命なのだ。」

こうしたメルロ=ポンティの言葉は、かつてないほど世界のそこここで暴力の遍在を感じざるをえない今、リアリティをもって読む者に迫る。
ケストラー作品について、またモスクワ粛正裁判についての情報を記した詳細な訳者解題、さらに附論として、シェーラー、マルセル、サルトル作の3編への書評を収める。

「絶対的非暴力は結局のところ、すでにでき上がった世界、それもうまくでき上がった世界という観念に立脚している。」
「われわれは純粋さと暴力のあいだで選択するのではなく、多様な種類の暴力のあいだで選択するのである。われわれが受肉している限りで、暴力とはわれわれの宿命なのだ。」

こうしたメルロ=ポンティの言葉は、かつてないほど世界のそこここで暴力の遍在を感じざるをえない今、リアリティをもって読む者に迫る。
ケストラー作品について、またモスクワ粛正裁判についての情報を記した詳細な訳者解題、さらに附論として、シェーラー、マルセル、サルトル作の3編への書評を収める。

著者略歴

著:モーリス・メルロ=ポンティ
1908-1961。フランスに生まれる。1926年、エコール・ノルマル・シュペリュール入学、在学中サルトル、ボーヴォワール、レヴィ=ストロースらと知りあう。1930年、哲学教授資格試験に合格。その前年にフッサールのソルボンヌ講演を、1935-1939年には高等研究院におけるコジェーヴのヘーゲル講義を聴講。ルーヴァンのフッサール文庫に赴き、遺稿を閲覧したのは1939年。第2次大戦中は従軍・レジスタンス活動を経験した。1945年、学位論文として同年刊の『知覚の現象学』および『行動の構造』(1942)を提出。1946年、サルトルらとともに『レ・タン・モデルヌ』創刊。1948年、リヨン大学教授、1949年、パリ大学文学部教授を経て1952年、コレージュ・ド・フランス教授に就任。1961年没。著書『ヒューマニズムとテロル』(1947)『意味と無意味』(1948)『弁証法の冒険』(1955)『シーニュ』(1960)ほか。没後『見えるものと見えないもの』(1964)『世界の散文』(1969)、コレージュ・ド・フランス講義録などが刊行されている。
訳:合田 正人
1957年生まれ。東京都立大学博士課程中退。西洋思想史、ユダヤ思想。明治大学文学部教授。著書『レヴィナスの思想』(弘文堂1988、改訂・改題『レヴィナス』ちくま学芸文庫2000)『レヴィナスを読む』(NHKブックス1999)『ジャンケレヴィッチ』(みすず書房2003)『サルトル『むかつき』ニートという冒険』(シリーズ「理想の教室」、みすず書房2006)、訳書 レヴィナス『全体性と無限』(国文社1989、改訂版2005)『固有名』(みすず書房1994)『外の主体』(みすず書房1997)ジャンケレヴィッチ『最初と最後のページ』(みすず書房1996)ベルクソン『物質と記憶』(共訳、ちくま学芸文庫2007)デリダ『フッサール哲学における発生の問題』(共訳、みすず書房2007)J-P・シャンジュー/P・リクール『脳と心』(共訳、みすず書房2008)P・リクール『レクチュール』(みすず書房 2009)ベルクソン『創造的進化』(ちくま学芸文庫2010)P・ブーレッツ『20世紀ユダヤ思想家』全3巻(共訳、みすず書房2011-13)ほか。

ISBN:9784622090212
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:368ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB