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懐古する想像力

イングランドの批評と歴史

著:ステファン・コリーニ
訳:近藤 康裕

紙版

内容紹介

「文芸批評を他のあらゆる学問研究から切り離された分野として扱うことはできない。通史、哲学、神学、経済学、心理学に注意を払わなければならないのは、これらのすべてに文芸批評が融合しているからである」(T. S. E.)

「文学──もっと正確に言えば〈英文学〉の中核を形成すると従来から考えられてきた一連の作家たち──は長きにわたってイギリスにおける国民的な自己定義の中心でありつづけてきた。しかし、20世紀のはじめの数十年に、国民文学の名作の評価と、国の政治体制の特徴とその軌跡についての理解とのあいだの緊密な、妄信的とさえ言いうるような結びつきがさまざまな形で分断させられたのである。文芸批評という概念がいっそう強調されるようになっていった」(S. C.)

『聖なる森』から『長い革命』、T・S・エリオットからリーヴィス夫妻、ウィリアム・エンプソン、リチャード・ホガート、レイモンド・ウィリアムズまで。歴史学と文学のはざまで同時代社会を彩る歴史認識、自己了解への視座をもたらしてきた20世紀文芸批評の展開をたどる。2017年度オックスフォード大学フォード記念講演。

目次

まえがき

序論
第1章 ホイッグ史観とイングランドの精神
第2章 人類史における現在の相を精査する
第3章 「背景」としての科学と資本主義
第4章 合理主義、キリスト教、曖昧
第5章 「読者層」の歴史
第6章 長い産業革命
第7章 文化史としての文学史
後記

原注
訳者あとがき

著者略歴

著:ステファン・コリーニ
1947年生まれ。ケンブリッジ大学ジーサス・コレッジで博士号取得。1994-2015年、ケンブリッジ大学教授(インテレクチュアル・ヒストリーおよび英文学。著書 Common Reading: Critics, Historians, Publics, Oxford University Press, 2008, Common Writing: Essays on Literary Culture and Public Debate, Oxford University Press, 2016, Speaking of Universities, Verso, 2017ほか。編著多数。邦訳に『懐古する想像力――イングランドの批評と歴史』(みすず書房 2020)、D・ウィンチ、J・バロウとの共著『かの高貴なる政治の科学――19世紀知性史研究』(ミネルヴァ書房 2005)、C・P・スノー『二つの文化と科学革命』解説(みすず書房 2011)などがある。
訳:近藤 康裕
1980年生まれ。一橋大学言語社会研究科博士後期課程修了。慶應義塾大学法学部准教授。イギリス文学・文化研究。著書『読むことの系譜学——ロレンス、ウィリアムズ、レッシング、ファウルズ』(港の人 2014)、共著『愛と戦いのイギリス文化史 1951-2010年』(慶應義塾大学出版会 2011)『文化と社会を読む批評キーワード辞典』(研究社 2013)、訳書 トッド『ザ・ピープル――イギリス労働者階級の盛衰』(みすず書房 2016)コリーニ『懐古する想像力――イングランドの批評と歴史』(みすず書房 2020)、共訳 ジャット『失われた二〇世紀』(NTT出版 2011)ウィリアムズ『共通文化にむけて』(みすず書房 2013)ほか。

ISBN:9784622089421
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:400ページ
定価:5200円(本体)
発行年月日:2020年11月
発売日:2020年11月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB