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ミシェル・レリスの肖像

マッソン、ジャコメッティ、ピカソ、ベイコン、そしてデュシャンさえも

著:千葉 文夫

紙版

内容紹介

ミシェル・レリスの仕事は、代表作と目される『成熟の年齢』や『ゲームの規則』四部作に示されるように、記憶の襞の奥に入り込み、独自の「詩と真実」の追求を試みる自伝的作品に本領がある。
本書は幾重にも折り重なる「肖像」の意味を問い直すために書かれることになるだろう。画家たちが描くレリスの肖像があり、レリスが描く画家たちの肖像があり、画家たちとレリスが描く芸術家と芸人たちの肖像があり、そのなかには自画像もまた含まれている。イメージとテクストはそれぞれが鏡のようになって、鏡像が反射しあう。
ゲームとは、賭けであり試合であり見世物であり遊戯であり演戯である、レリスの「ゲームの規則」をさぐる試みもまた一個のゲームを構成することになるだろう。
没後30年、死後の生において「栄光」を手に入れたかに見えるミシェル・レリス。20世紀フランスにおける特異な存在である「文脈から逸脱をつづける人」についに共鳴する、エレガントなライフワーク。

目次

はじめに
第一章 骰子をふる男――マッソンの場合
第二章 ラザロのように――ジャコメッティの場合
第三章 道化役者の肖像――ピカソの場合
第四章 アナモルフォーシスの遊戯――ベイコンの場合
第五章 レリスの変身譚
第六章 ゲームとその規則――デュシャンの影
第七章 アーティストの/としての肖像

あとがき
図版一覧

著者略歴

著:千葉 文夫
1949年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科満期退学。パリ第一大学博士課程修了。早稲田大学名誉教授。著書に『ファントマ幻想』(青土社)、『ミシェル・レリスの肖像』(みすず書房)、編著に『ジャン=ルーシュ』(森話社)、分担執筆に『ストローブ=ユイレ──シネマの絶対に向けて』『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(以上、森話社)、『引用の文学史』『異貌のパリ』(以上、水声社)、『文化解体の想像力』(人文書院)、訳書に、レリス『角笛と叫び』(青土社)、同『ミシェル・レリス日記』(みすず書房)、同『縫糸』(「ゲームの規則」III、平凡社)、スタロバンスキー『オペラ、魅惑する女たち』、ドゥレ『リッチ&ライト』(以上、みすず書房)、シュネデール『グレン・グールド 孤独のアリア』、同『シューマン 黄昏のアリア』、オーデル編『プーランクは語る』(以上、筑摩書房)、クロソフスキー『古代ローマの女たち』(平凡社ライブラリー)、マセ『最後のエジプト人』(白水社)、『マルセル・シュオッブ全集』(共訳、国書刊行会)、ジャンケレヴィッチ『夜の音楽』(共訳、シンフォニア)などがある。

ISBN:9784622088479
出版社:みすず書房
判型:A5変
ページ数:264ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB