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定義集(新装版)

著:アラン
訳:森 有正
編:所 雄章

紙版

内容紹介

『幸福論』ほかの著書で知られるフランスの哲学者アランにとって、定義への試みはその出発点であり、目的であった。簡潔さ、厳密さに到達した定義は、静かな力づよさを獲得する。これはアランの一生の仕事であった。ABATTEMENT(落胆)からRELIGION(宗教)まで、アランが本書で表した210語の定義は、ものとことばと思想との関連をみごとに示している。ここには日々の経験を普遍的なものへ高める知性と勇気がある。
フランスと日本の間で経験と思索を独自の言語表現にまで高めた哲学者、本書の訳者、森有正は、著書で「定義だけが人間に真理を与えてくれると思うようになった」(『バビロンの流れのほとりにて』)と遺している。また、本書収録の所雄章(編者・哲学研究者)との対談で、辻邦生(小説家)は「(森さんは)アランの『定義集』を訳すというような形で、自分の到達したものに内容を与えようとした」と考えている。生涯の重要な仕事として訳業をすすめ、1988年にその遺稿がまとめられた本書は、21世紀の日本においても、人間がいかに生きるべきかについて、日々の具体的な施策から組み立てることの重要性を示唆している。

目次

原書出版者の序
訳者のことば  森有正
編者のことば  所雄章

定義集

編集後記  所雄章
森有正と「定義」とアランと  対談 辻邦生/所雄章
森さんにとってのアラン/「感覚」から「経験」を経て「定義」へ/「経験」の総体の表現と抽象化/「ヨーロッパ対日本」という図式/「経験」は「定義」されつくせるものなのか/日々の具体的な思索/アラン『定義集』をめぐって/日本語とフランス語/経験を言語化してゆく努力

著者略歴

著:アラン
1868-1951。本名Emile Auguste Chartier。ノルマンディーに生れ、ミシュレのリセ時代に哲学者J・ラニョーの講義を通して、スピノザ、プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル等を学ぶ。エコール・ノルマル卒業後、ルーアン、アンリ4世校などのリセで65歳まで教育に携る。ルーアン時代に「ラ・デペーシュ・ド・ルーアン」紙に「日曜日のプロポ」を書きはじめたのが、彼のプロポ(語録)形式の初めである。アランの人と著書については、アンドレ・モーロワの『アラン』(佐貫健訳、みすず書房、1964)に詳しい。邦訳されたものとして、『定義集』(森有正訳、1988)、『デカルト』(桑原武夫・野田又夫訳、1971)『プロポ』1・2(山崎庸一郎訳、2000、2003)『アラン 芸術について』(山崎庸一郎編訳、2004)『小さな哲学史』(橋本由美子訳、2008、いずれもみすず書房)などがある。
訳:森 有正
1911年東京に生れる。1938年東京大学仏文科卒業、卒業論文はパスカル。その後同大助教授をへて、1950年8月、戦後初のフランス政府給費留学生として渡仏。この時以降、一時的な帰国をのぞき、日本に戻ることはなかった。パリでは国立東洋語学校およぴソルポンヌで日本語、日本文学を講じ、1972年からはパリ大学都市日本館の館長をつとめた。『バピロンの流れのほとりにて』をはじめとする一連の著作は、経験と思索を独自の言語表現にまで高めたものである。1976年10月18日、パリで逝去。著書は『森有正全集』(全14巻・別巻1、筑摩書房、1978-82)にほぼ収められている。訳書にはデカルト『真理の探究』、バスカル『幾何学的精神』(ともに創元社、1947)、アラン『わが思索のあと』(思索社、1949)ほかがある。

ISBN:9784622088370
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:234ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDH
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDX
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1DDF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 4:1DDN