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良き統治

大統領制化する民主主義

著:ピエール・ロザンヴァロン
他訳:古城 毅
他訳:赤羽 悠

紙版

内容紹介

私たちは民主主義体制のなかにいるが、民主主義的に統治されているとはいえない。この大きな乖離が今日の幻滅を生み出している。執行権の力が強大化し、「民主主義の大統領制化」が進むなか、民主主義の難問にどう答えるか。
いま民主主義が直面する大きな問題は、人々が政治参加できる手段である選挙が、執行者を選ぶだけのものになっていることだ。そうした「承認の民主主義」では、人々は「一日限りの主権者」でしかない。民主主義を自らの手に取り戻す「行使の民主主義」のためには何が必要だろうか。
権力の中心が立法権から執行権へと移行する統治の歴史を明らかにし、新たな民主主義の展望をひらく。ロザンヴァロンの民主主義論の総決算。

目次

「良き統治」とは何か  (宇野重規)

序 新しい民主主義への移行

I 執行権――その問題含みの歴史
1 法の聖別と執行権の格下げ
2 非人格性の崇拝とその変容
3 執行権の復権の時代
4 二つの誘惑

II 民主主義の大統領制化
1 先駆的な経験――1848年とワイマール共和国
2 ドゴール的例外から大統領制化の普及へ
3 不可避的かつ問題含みの点
4 非自由主義の規制

III 被治者のものとなる民主主義
1 被治者と統治者の関係
2 理解可能性
3 統治責任
4 応答性

IV 信頼に基づく民主主義
1 良き統治者の諸相
2 真実を語ること
3 高潔さ

結論 第二段階の民主主義革命
訳者あとがき  (古城毅)
原註
索引

著者略歴

著:ピエール・ロザンヴァロン
1948年生まれ。フランスの歴史家・政治学者。フランス民主労働総同盟の経済顧問、社会科学高等研究院研究ディレクターなどを経て、現在、コレージュ・ド・フランス教授。著書多数。とりわけ民主主義についての一連の著作は大きな影響を与える。邦訳された著書に『自主管理の時代』(新田俊三・田中光雄訳、新地書房)、『ユートピア的資本主義』(長谷俊雄訳、国文社)、『連帯の新たなる哲学』(北垣徹訳、勁草書房)、『カウンター・デモクラシー』(嶋崎正樹訳、岩波書店)、『良き統治』(古城毅他訳、みすず書房)がある。
他訳:古城 毅
1975年生まれ。学習院大学法学部教授。専攻は政治学。著書に『社会統合と宗教的なもの』(共著、白水社)、訳書にジョン・ポーコック『島々の発見』(共訳、名古屋大学出版会)、ポール・ベニシュー『作家の聖別』(共訳、水声社)、『ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学』(共訳、勁草書房)、ピエール・ロザンヴァロン『良き統治』(共訳、みすず書房)などがある。
他訳:赤羽 悠
1984年生まれ。早稲田大学社会科学部非常勤講師。専攻は社会思想史。著書に『共和国か宗教か、それとも』(共著、白水社)、訳書にクロード・ルフォール『民主主義の発明』(共訳、勁草書房)、ピエール・ロザンヴァロン『良き統治』(共訳、みすず書房)などがある。

ISBN:9784622088257
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:456ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPH