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ハッパノミクス

麻薬カルテルの経済学

著:トム・ウェインライト
訳:千葉 敏生

紙版

内容紹介

「ラテンアメリカを訪れた私は、麻薬産業の恐ろしい供給面を目撃することになった。そして、麻薬密売について書けば書くほど、麻薬ビジネスが組織的なグローバル・ビジネスと酷似していることに気づきはじめた…蒸し暑い独房で一味の支配する縄張りの広さを私に自慢したエルサルバドルの極悪ギャングのボスは、まるで合併を発表するCEOのような口ぶりで、抗争中のギャング間の手打ちについて陳腐な台詞を並べた。コカを栽培するボリビアの無骨な農民は、まるで商業園芸家のような自負と専門知識をひけらかしながら、自身の植物について興奮気味に話した。…世界じゅうの麻薬産業を調べるにつけ、麻薬ビジネスを一般企業と同列に論じたらいったいどうなるだろうかと、ますます興味が湧いてきた。その集大成がこの本というわけだ」「麻薬カルテルの運営を理解すれば、麻薬カルテルが繰り出す次の一手を予測し、税金や人命を無駄にすることなく企みを阻止しやすくなる。本書は麻薬王向けのビジネス・マニュアルであると同時に、彼らに勝つための攻略マニュアルでもあるのだ」(本文より)
地を這う取材と最新の学術成果を結び付け、麻薬取引を、経済学的、経営学的に分析した初のノンフィクション。

「ウェインライトは、楽しくかつ精緻な筆致で、驚くほど儲かる洗練されたビジネス企業という、麻薬カルテルの内情を暴き出している。本書を読めば、麻薬取引をまったく異なる視点から、より現実的に把握できるだろう。必読だ」
――モイセス・ナイム(『権力の終焉』)

「本書は、麻薬をめぐる暴力が無鉄砲なものではなく、経済的計算が極端に残酷化した結果であることを示している。……麻薬対策法の改革についての、もっとも簡潔かつ説得的な議論だ」
――『ニューヨーク・タイムズ』紙

「粘り強い取材と学術的研究の調査に基づいた、才気煥発かつ魅力的な本だ」
――『ウォールストリート・ジャーナル』紙

目次

Introduction カルテル株式会社
Chapter 1 コカインのサプライ・チェーン――ゴキブリ効果と3万パーセントの値上がり
Chapter 2 競争か、協力か――「殺し合う」よりも「手を組む」ほうが勝るワケ
Chapter 3 麻薬カルテルの人材問題――ジェームズ・ボンドがミスター・ビーンと出会うとき
Chapter 4 PRとシナロアの広告マン――なぜカルテルは「企業の社会的責任」を重視するのか
Chapter 5 オフショアリング――ジャングルでビジネスを行なうメリット
Chapter 6 フランチャイズの未来――ギャングはマクドナルドから何を盗んだか
Chapter 7 法律の先を行くイノベーション――“脱法ドラッグ”業界の研究開発事情
Chapter 8 オンライン化する麻薬販売――ネット・ショッピングが向上させた売人の顧客サービス
Chapter 9 多角化するカルテル・ビジネス――麻薬の密輸から人間の密輸へ
Chapter 10 いたちごっこの果てに……――麻薬王たちを脅かす合法化の波
Conclusion 経済学者は最高の警官

著者略歴

著:トム・ウェインライト
『エコノミスト』誌エディター(イギリス)。以前は同誌のレポーターをメキシコシティで務め、メキシコ、中米、および米国国境周辺地域を担当。『タイムズ』『ガーディアン』『リテラリー・レビュー』にも寄稿している。オックスフォード大学で哲学、政治、経済学を修めた。Narconomics: How to Run a Drug Cartel (PublicAffairs, 2016, 『ハッパノミクス――麻薬カルテルの経済学』千葉敏生訳、みすず書房)が初の著作。
訳:千葉 敏生
翻訳家。訳書 バーネット他『LIFE DESIGN』(早川書房、2017)タレブ『反脆弱性』(ダイヤモンド社、2017)サンプター『サッカーマティクス』(光文社、2017)ウェインライト『ハッパノミクス』(みすず書房、2017)ほか。

ISBN:9784622086635
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:296ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2017年12月
発売日:2017年12月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF