表現論入門
群・代数・箙と圏の表現
他著:P. エティンゴフ
他著:O. ゴルバーグ
他著:S. ヘンゼル
内容紹介
表現論は,線型空間の対称性に関する理論であって,フロベニウスによる群行列式の研究をきっかけに1896年に誕生した.そして,いまや,整数論,組合せ論,幾何学,確率論,量子力学や量子場の理論まで数々の応用をもつまでに発展している.
本書は,P.エティンゴフがクレイ数学研究所で行った高校生向け講義と,MITでの学部生向け講義をもとにした,表現論の入門書である.表現論を細分化されない一体的な理論として論じ,結合的代数の表現や,群,リー代数,箙の表現など多彩な話題を扱う.内容は多くの問題や演習によって補完され,それらを解くことで発展的な話題を学べるように配慮されている.また,近代的な代数学や表現論の建設に重要な役割を果たした数学者たちの歴史的挿話も配されていて親しみやすい.
本書は,線型代数や抽象代数学の基礎的な知識をもつ学部生や修士課程の学生のための入門書として最適である.
目次
第1章 序
第2章 表現論の基本的な概念
2.1 表現論とは何か?/2.2 代数/2.3 表現/2.4 イデアル/2.5 剰余環/2.6 生成元と関係式で定義される代数/2.7 代数の例/2.8 箙/2.9 リー環(リー代数)/2.10 数学史挿話:ソフス・リー/2.11 テンソル積/2.12 テンソル代数/2.13 ヒルベルトの第3問題/2.14 リー環の表現のテンソル積と双対/2.15 sl(2)の表現/2.16 リー環に関する問題
第3章 表現論の一般的な結果
3.1 半単純な表現の部分表現/3.2 稠密性定理/3.3 行列代数の直和の表現/3.4 フィルトレーション/3.5 有限次元代数/3.6 表現の指標/3.7 ジョルダン–ヘルダーの定理/3.8 クルル–シュミットの定理/3.9 問題/3.10 テンソル積の表現
第4章 有限群の表現:基本的性質
4.1 マシュケの定理/4.2 指標/4.3 例/4.4 双対表現と表現のテンソル積/4.5 指標の直交関係/4.6 ユニタリ表現/4.7 行列成分の直交性/4.8 指標表とその例/4.9 指標表を用いたテンソル積における重複度の計算/4.10 フロベニウス行列式/4.11 数学史挿話:ゲオルク・フロベニウス/4.12 問題/4.13 数学史小話:ウィリアム・ローワン・ハミルトン
第5章 有限群の表現:さらなる結果
5.1 フロベニウス–シューアの指示子/5.2 代数的数と代数的整数/5.3 フロベニウスの可除性定理/5.4 バーンサイドの定理/5.5 数学史挿話:ウィリアム・バーンサイド/5.6 直積の表現/5.7 仮想表現/5.8 誘導表現/5.9 誘導表現の指標に対するフロベニウスの公式/5.10 フロベニウスの相互律/5.11 例/5.12 対称群S_nの表現/5.13 S_nの表現の分類定理の証明/5.14 S_nの誘導表現/5.15 フロベニウスの指標公式/5.16 問題/5.17 フック長公式/5.18 gl(V)に対するシューア–ワイル双対律/5.19 GL(V)に対するシューア–ワイル双対律/5.20 数学史挿話:ヘルマン・ワイル/5.21 シューア多項式/5.22 L_λの指標/5.23 GL(V)の代数的表現/5.24 問題/5.25 GL_2(F_q)の表現/5.26 アルティンの定理/5.27 半直積群の表現
第6章 箙の表現
6.1 問題/6.2 A_1, A_2, A_3の直既約表現/6.3 箙D_4の直既約表現/6.4 ルート/6.5 ガブリエルの定理/6.6 鏡映関手/6.7 コクセター元/6.8 ガブリエルの定理の証明/6.9 問題
第7章 圏論入門
7.1 圏の定義/7.2 関手/7.3 関手の間の射/7.4 圏同値/7.5 表現可能関手/7.6 隨伴関手/7.7 アーベル圏/7.8 複体とコホモロジー/7.9 完全関手/7.10 数学史挿話:アイレンバーグとマクレーン
第8章 ホモロジー代数
8.1 射影加群と入射加群/8.2 Tor関手とExt関手
第9章 有限次元代数の構造
9.1 冪等元の持ち上げ/9.2 射影被覆/9.3 有限次元代数のカルタン行列/9.4 ホモロジー次元/9.5 ブロック/9.6 有限アーベル圏/9.7 森田同値
数学史挿話に関する参考文献
数学に関する参考文献
追加参考文献
訳者あとがき
索引
ISBN:9784621308059
。出版社:丸善出版
。判型:A5
。ページ数:260ページ
。定価:4800円(本体)
。発行年月日:2023年06月
。発売日:2023年06月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBF。