第I部 東アジア仏教圏と「日本仏教」の形成
第一章 奈良・平安時代にみる中国仏教の日本的受容
一 はじめに/二 南都仏教の国際交流/三 北嶺仏教の国際交流/四 南都の行―法会―
/五 北嶺の行―四種三昧と浄土教/六 むすび
コラム① 南都・北嶺の祖師忌―東アジア仏教儀礼の視点から―
コラム② 最古の世界地図『混一図』の作製風景
第二章 親鸞浄土教の成立と展開
一 はじめに/二 『教行信証』の思想がもつ普遍性―経・論・釈の引用や御自釈にみる表現から―
/三 親鸞浄土教の独創性をめぐって―法然とその門弟たちの中で―/四 親鸞浄土教の他力と自然
/五 浄土真宗の国際性/六 むすび
コラム 親鸞と『歎異抄』
第II部 近代日本仏教の国際交流
第三章 明治仏教の国際化の歩み
一 維新の衝撃と仏教僧の欧州視察/二 「英語を話す僧侶」―赤松連城―/三 東・西本願寺のアジア開教
/四 破邪と「本邦ノ新教」としての浄土真宗 /五 欧州留学経験者と国際ネットワークの形成
/六 「白人仏教者」オルコットの来日/七 セイロン・インドへの日本人僧侶の留学/八 普通教校と『海外仏教事情』の刊行
/The Bijou of Asiaと出版と通信による仏教ネットワークの試み
コラム 近代仏教の中の国際ネットワーク
第四章 大谷光瑞の国際交流事業の再検討
一 はじめに/二 探検家としての大谷光瑞―大谷探検隊とそのコレクション―
/三 教育者としての大谷光瑞―武庫仏教中学と大谷学生―/四 農学者・農業者としての大谷光瑞―熱帯農業と科学―
/五 トルコと台湾の農業事情/六 むすび
コラム 大谷探検隊のモンゴル調査
第五章 戦時下・仏教国際交流の試みと挫折
一 世界平和実現に向けた課題/二 世界仏教大会〈大正四年〉 /三 東亜仏教大会〈大正十四年〉
/四 第一回汎太平洋仏教青年大会〈昭和五年〉 /五 世界宗教平和大会と国際仏教協会
/六 第二回汎太平洋仏教青年大会〈昭和九年〉 /七 日中仏教交流の再開と破綻/八 第三回大会開催をめぐる混乱
/九 大東亜仏教青年会〈昭和十八年〉
第III部 仏教の国際貢献に向けた課題と展望
第六章 アジアのエンゲイジド・ブッディズムとその可能性
一 エンゲイジド・ブッディズムとは何か/二 欧米のエンゲイジド・ブッディズムとその性格
/三 エンゲイジド・ブッディズム運動にみられる二つの立場/四 日本におけるエンゲイジド・ブッディズムの理解
/五 アジアにおけるエンゲイジド・ブッディズムの理念/六 アジアのエンゲイジド・ブッディズムの活動/七 むすび
コラム ベンガルの仏教徒たち―イスラームとヒンドゥーのはざまで―
第七章 日本仏教の社会性・公益性
一 社会課題に取り組む仏教者―仏教社会事業に注目して/二 アジアの宗教者による自死対策とその課題
/三 自死をどのような死と捉えるか?―現代仏教者による自死対策と教義理解―
コラム 災害復興支援に取り組む宗教者―仏教者の取組みへの一視点―
第八章 多文化共生社会における日本仏教の可能性―トランスナショナルな視点からの再検討―
一 はじめに/二 多文化共生社会における宗教間対話と日本仏教の可能性
/三 多文化共生社会としての日本における宗教間教育の必要性/四 国際的な視点からみた日本の仏教と女性
/五 むすび
コラム LGBT/SOGIと仏教―クィア仏教学の構築にむけて―
編集後記
龍谷大学アジア仏教文化研究叢書17 刊行の辞
執筆者一覧
索引