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データで見る太平洋戦争

「日本の失敗」の真実

著:高橋 昌紀

紙版

内容紹介

秘蔵写真と数字で蘇る、真実の太平洋戦争!

 戦後70年を期に毎日デジタル誌上で連載された「戦後70年:数字は証言する」。
 太平洋戦争の実態については戦後の研究によってさまざまな事実が明らかになっている。ただ研究成果は個別に刊行され、専門家でない一般人にはこれまでアクセスが難しかった。だが毎日新聞高橋記者の努力によって、これまでばらばらだった研究成果が一連のウェブ連載記事にまとめられた。写真やイラストを多用し、一般向けにわかりやすいテーマ構成の記事として現在も見ることができる。
 本書籍はこのウェブ連載をもとに、毎日新聞秘蔵の写真を多数掲載し、コンパクトに戦争を俯瞰することを目指す。

 戦争を数字で見ることによって、その実態がよりリアルに浮かび上がってくる。例えば「旧日本軍は輸送・補給を軽視していた」という通説は、「戦死者230万人のうち6割が餓死していた」という数字によって、その深刻な実態が伝わってくる。ほかにも、数字で見れば特攻作戦はまさに無駄死にだった。特攻に出た機体が敵艦に命中する確立は9機に1機しかなかった。また爆弾にくらべ衝撃がよわく、大型艦にはかすり傷ひとつつけられなかった。大本営は効果がないことをよく知っていたが、特攻作戦は終戦まで続けられた。
 戦艦大和は国家予算の4.3%を費やして建造された。これはおおむねリニア中央新幹線の建設費に相当する。莫大な建造費用を通すために架空計上など会計のごまかしがおこなわれたが、停泊するだけで1日50トン以上の燃料を消費する無用の長物にかわりなかった。

 敗戦後72年目の夏を迎える今年、政権主導での改憲議論が進む中、現行憲法制定のきっかけである悲惨な敗戦にも再び注目が集まることが予想される。秘蔵写真と数字によって戦争を振り返る本書籍は、そういった議論でも資料活用が期待される。また最新の研究成果を1冊に集約した本書は、教養を求める向きにとって、太平洋戦争の全体像をつかむ上で格好の入門書となる。特に高橋記者が膨大な文献を参照した結果の文献リストはこの分野の入門者にとってきわめて有益である。各章末に著名人インタビューによって、リアルな証言も収録し説得力を高める。

ISBN:9784620324623
出版社:毎日新聞出版
判型:A5
ページ数:208ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2017年07月
発売日:2017年08月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ