放送大学教材
樋口一葉の世界
著:島内 裕子
紙版
内容紹介
樋口一葉の「人と文学」の両面から、その全体像の把握を目指している。古典と近代の過渡期を体験した一葉は、短い人生の中で、日本文学史の大きな節目を提示している。一葉がどのような文学的な意欲を、どのような文体で実現したのかは、完成作品としての一葉の短編小説の中に実現されているが、一葉の残した和歌・日記・雑記・書簡などにも焦点を当てて、一葉文学の深層を読み解き、わかりやすく解説する。文学ジャンルや時代性、同時代の文学者との交流や相互の影響など、多角的な視点から、一葉文学の魅力と達成に触れてみたい。
目次
1.樋口一葉の文学世界 2.「萩の舎」以前の一葉と樋口家の人々 3.「萩の舎」入門 4.一葉における無常の認識 5.小説家への道 6.習作期から「武蔵野三部作」へ 7.作品発表の新たな舞台 8.『都の花』と『文学界』への登場 9.下谷龍泉寺町時代 10.本郷丸山福山町時代の文学開花 11.博文館とのつながり 12.さまざまな可能性 13.『たけくらべ』を読む 14.『通俗書簡文』と、現実への回路 15.一葉文学の達成域