◆第Ⅰ部 福沢諭吉はどこにいるのか
第一章 『時事新報』社説起草者判定の必要性
1 独立した個人による国家の発展を説いた思想家
2 福沢健全期『時事新報』社説起草者判定
3 福沢の原稿が残存している社説と、福沢以外の執筆者による社説の区別
第二章 大正版『福沢全集』「時事論集」の判定
1 福沢諭吉の『時事新報』論説を研究するものは少ない
2 『時事新報』論説とは何か
3 大正版『福沢全集』「時事論集」所収社説の起草者判定
第三章 石河幹明入社前の社説判定―明治一五年(一八八二)三月~明治一八年(一八八五)三月
1 前石河社説群とは何か
2 前石河社説群起草候補者たち
3 前石河社説群の起草者推定
4 前石河社説群中の推定福沢直筆社説
5 推定福沢直筆社説の概観
第四章 福沢が直接指導していた時期の社説判定―明治一八年(一八八五)四月~明治二四年(一八九一)九月
1 当該期間の社説の起草者推定
2 当該期間の推定福沢直筆社説
3 推定福沢直筆社説の概観
第五章 福沢が権限を移譲していった時期の社説判定―明治二四年(一八九一)一〇月~明治三一年(一八九八)九月
1 菊池武徳一時退社後の人手不足
2 当該期間の推定福沢直筆社説
3 推定福沢直筆社説の概観
◆第Ⅱ部 国内問題に関する社説と福沢
第六章 宗教論―国民宗教を希求し、キリスト教国化を予言
1 福沢のキリスト教容認論への転換を解く鍵は『全集』非収録社説にある
2 キリスト教関連社説の一覧
3 豹変を説明する『全集』非収録社説の発見
4 ノルマントン号事件前のキリスト教関連社説
5 ノルマントン号事件後のキリスト教関連社説
第七章 興業論―商工立国のほかに道なし
1 『時事新報』創刊前の興業論
2 福沢健全期『時事新報』中の興業論関連社説の一覧
3 興業論関連『全集』非収録社説の紹介
4 興業論関連社説の概観
第八章 移民論―海外移住にあたり心がけるべきこと
1 福沢署名著作における移住・殖民の用例
2 福沢健全期『時事新報』中の移民論関連社説の一覧
3 ウェイクフィールドの組織的植民論
4 移民論関連『全集』非収録社説の紹介
5 移民論関連社説の論調の変遷
第九章 交通論―鉄道は民設かつ米国方式で
1 『時事新報』創刊前の交通論
2 福沢健全期『時事新報』中の交通論関連社説の一覧
3 交通論関連『全集』非収録社説の紹介
4 交通論関連社説の論調の変遷
第十章 『全集』非収録署名入社説―福沢関与の可能性について
1 誰が署名入社説を執筆したのか
2 『全集』非収録署名入社説の一覧と分布
3 特異な署名入社説の紹介
◆第Ⅲ部 対外問題に関する社説と福沢
第十一章 清国論―貿易相手国として付き合いつつ、市民革命に期待
1 清国関連『全集』非収録社説の発見
2 福沢健全期『時事新報』中の清国関連社説の一覧
3 清国関連社説の論調の変遷
第十二章 朝鮮論―独立国家として扱い、通商や軍事の協定を結ぶべき
1 朝鮮関連『全集』非収録社説の発見
2 福沢健全期『時事新報』中の朝鮮関連社説の一覧
3 朝鮮関連社説の論調の変遷
第十三章 海軍論―人材育成を優先させるべき
1 『時事新報』社説中海軍論の一覧
2 福沢健全期の海軍論の概観および注目すべき『全集』非収録社説
3 軍事史との関わりを探る
第十四章 陸軍論―不要な兵員は削減すべき
1 いかにして陸軍論を選ぶか
2 『時事新報』社説中陸軍論の一覧
3 陸軍論社説の概観
4 注目すべき『全集』非収録社説
第十五章 外交貿易論―不平等条約改正の提唱
1 『時事新報』創刊前の条約改正交渉
2 福沢健全期『時事新報』中の外交貿易論関連社説の一覧
3 外交貿易論関連『全集』非収録社説の紹介
4 新聞記者にして外交官・波多野承五郎(日清戦争前の論点)
5 福沢諭吉は「日英同盟」の主唱者か(日清戦争後の論点)
6 外交貿易論関連社説の論調の変遷
◆第Ⅳ部 福沢伝と『全集』の編纂者・石河幹明
第十六章 福沢諭吉像を歪めたのは誰か
1 本章が明らかにすること
2 「不誠実」とは「故意」という意味である
3 同じ「時事論集」を称していても「大正版」と「昭和版」とでは内実が異なる
4 『修業立志編』は『全集』に収録されるべきだ
5 徳富蘇峰の福沢批判に小泉信三は『続福沢全集』を用いて応えた
第十七章 石河明子著『石河幹明伝』の意義
1 現在は過去の延長上にある
2 作者が『石河幹明伝』の執筆を思い立つまで
3 待ち望まれていた『石河幹明伝』の刊行
4 本文「9悪人説への反論」への応答
5 別冊『文春新書「福沢諭吉の真実」平山洋著における不審点』への応答
6 石河幹明の「誠実」をもはや信じることはできない
終 章 最近の研究動向との関連
参考文献
あとがき
福沢諭吉略年譜
『時事新報』社説索引
書名索引/人名索引