はしがき
序 章 日本史から裁判のあり方を学ぶ
第1章 上代司法と聖徳太子―日本における「司法アクセス」の起源「十七条憲法」
1 上代の法と裁判
2 血塗られた時代
3 「法の支配」の起源としての「十七条憲法」
4 「十七条憲法」に規定されていた「司法へのアクセス」の保障
5 太子の基本思想と孤独感
【歴史の寄り道①】歴史の中の「正義・司法へのアクセス」論
第2章 鎌倉司法と阿仏尼の思い―「東の亀の鑑」と統治の真髄
1 阿仏尼の民事訴訟への希求
2 裁判に向かう阿仏尼の『十六夜日記』
3 鎌倉時代の司法制度
4 北条時頼の諸国行脚
5 日本中世の女性像
6 「細川の荘」をめぐる裁判の行方
7 中世の民事裁判と道理
8 『太平記』が語る裁判官の姿
【歴史の寄り道②】中世世界に観る「救済観」
第3章 「徳政」と乱世に生きる庶民の力―中世庶民と法への思い
1 庶民と金銭債務
2 中世の高利貸し:土倉
3 「徳政」と「徳政令」
4 永仁の徳政令
5 永仁の徳政令の評価
6 「日本開闢以来土民蜂起……」
7 「天下一同徳政令」
8 徳政一揆の終焉と下剋上
【歴史の寄り道③】「徳政」余談
第4章 中世の「庶民自治」と紛争解決―中世における自治的紛争処理とその終焉
1 中世庶民の生活
2 南山城における「コミューン」の形成
3 加賀における「コミューン」の形成
4 惣村の成立と自治
5 謙抑的な自力救済観と共生関係の回復
6 中世の町の自治
7 「分国法」による自力救済の禁止と裁判権の掌握
8 自力救済禁止の代償
9 庶民の「統治主体」化
【歴史の寄り道④】甲賀郡中惣
第5章 江戸庶民の法と司法の見方―明治近代司法の底流を見つめて
1 荻生徂徠の卓見
2 朝日文左衛門の法感覚
3 江戸の裁判:大岡越前と遠山金四郎
4 徂徠と西鶴の著作に見る「江戸庶民金融の蟻地獄」
5 中江藤樹と熊沢蕃山
6 「三方一両損」から「四方よし(=司法よし)」へ
【歴史の寄り道⑤】江戸時代にも鉄火裁判
第6章 明治初期における「逝きし世の日本司法の面影」―日本人が西欧法に出会う時
1 明治初期の裁判との出会い
2 近代司法制度の形成
3 裁判制度の産みの苦しみ
4 司法府の最高機関としての大審院の設置
5 現代司法の「内省的視座」を求めて
【歴史の寄り道⑥】ある裁判所の風景
第7章 初代司法卿、江藤新平の孤独な闘い―「国民のための司法」の濫觴
1 司法改革の「歳月」
2 江藤の志
3 「民の司直」への悲願
4 近代的な司法制度確立指向の挫折
【歴史の寄り道⑦】日米内戦比較
第8章 近代市民、福澤諭吉の司法観―明治期の司法と人材育成
1 「門閥制度は親の敵」
2 福澤と陪審制
3 福澤の訴訟観
4 福澤と法学教育
【歴史の寄り道⑧】「独立自尊」と「良心教育」
第9章 大津事件と児島惟謙―「司法権の独立」の確保とその限界
1 事件の勃発
2 「護法の神」
3 政府の干渉と児島の奔走
4 判決と事件の評価
【歴史の寄り道⑨】事件の後
第10章 足尾鉱毒事件と田中正造の孤独な闘い―「国民の司法離れ」の深刻な一起源
1 「辛酸佳境に入る」
2 「予は下野の百姓なり」
3 亡国の思念
4 選択肢ではなかった民事訴訟
【歴史の寄り道⑩】民衆の視座から
第11章 原敬の司法観―陪審裁判と市民参加
1 「宝積」の精神
2 分家して、平民になる
3 原の陪審観
4 日本陪審制度の含意
5 暗殺
6 陪審制度:権力に対する国民参加の橋頭堡
【歴史の寄り道⑪】忘れてはいけない「大逆事件」
第12章 詩人・宮澤賢治の訴訟観―「ソショウ」は本当にツマラナイか?
1 感性の詩人
2 小作争議と小作調停法の制定
3 小作調停法とその影響
4 『雨ニモマケズ』と『どんぐりと山猫』
5 賢治の訴訟観
6 孤独な菩薩道
【歴史の寄り道⑫】民事訴訟法学者、雉本朗造の場合
第13章 戦後司法改革の小史―戦後民主司法は何を創り残したか?
1 戦後の司法改革
2 戦後における裁判所改革
3 いわゆる「司法の危機」と呼ばれた現象
4 『司法制度改革審議会意見書』に至る道程
5 『司法制度改革審議会意見書』とその後
【歴史の寄り道⑬】三島由紀夫と家事調停
終 章 民事裁判の近未来展望
1 民事訴訟で扱うこと
2 「自分でできる納得民事裁判」の基本要素
3 民事訴訟における救済過程の課題
あとがき