序 論
喘息、枯草熱などの小史
アレルギー問題
アレルギー症状の爆発──二〇世紀の謎
生物多様性が公衆衛生の支柱とならねばならない
〈自立的科学者〉への賛辞
第1章 細菌が世界をつくる
病原菌となる一四〇〇種の微生物
ビール酵母からワクチンへ
微生物は生命の起源である
共生の専門家との出会い
樹木と牛──微生物はどこにでもいる
第2章 細菌と人間
人間の細菌叢
大腸の細菌部隊
生命誕生の最初の一〇〇〇日が重要
微生物遺伝子と第二の脳
予告された災厄のクロニクル──〈抗生物質の冬〉
第3章 カレリアのアレルギー研究
ウィトルウィウス的人体図
謎と探偵の誕生
衛生仮説と〈鉄のカーテンの僥倖〉
比類なき生きた実験場
〈大いなる加速化時代〉
第4章 生物多様性仮説
チョウチョウとアレルギーの関係
衛生仮説から生物多様性仮説へ
幼少期の重要性
微生物は過剰な炎症を予防する
農場の埃は素晴らしい!
第5章 〈農場効果〉
ベルリンの壁崩壊後の〈始動〉
〈農場効果〉の起源
農場の子どものマットレスの微生物
エンドトキシンの不思議な役割
耐性の習得
第6章 〈牧場研究〉
一〇〇〇人の赤ん坊を二〇年間追跡調査する
異例の研究
牛小屋のカビの予防効果
出生前の曝露は予防力を強化する
後成的効果とは……
第7章 ヨーロッパの伝統的農場とアーミッシュの恩恵
多くの効能を有する農場牛乳
〈コンテチーズを朝昼晩!〉
腸内細菌叢の決定的役割
反対運動を引き起こしたパラダイムチェンジ
行政当局の〈矛盾した指令〉と農産物加工業界からの攻撃
〈アーミッシュがわれわれに道を指し示す〉
工業型農場にはいかなる予防体制もない──フッター派との比較
アーミッシュの埃と糞便はアレルギーを予防する
第8章 腸管寄生虫の役割
寄生虫と人間
寄生虫は免疫システムを調整する
寄生虫は炎症性疾患を予防する
寄生虫と腸内細菌の相互作用
〈政治的に不適切な問題〉
アフリカにおける寄生虫駆除のリスク
第9章 生物多様性が新型コロナ感染症から人間を守る
コロナパンデミックはアフリカでは起きなかった
寄生虫がコロナ感染症の重症化を予防する
コロナウイルスの専門家との出会い
交差免疫、マラリア、腸管寄生虫
パンデミック製造工場
希釈効果
第10章 細菌叢、肥満症、感染症
肥満症の大流行は環境ファクターが原因である
腸内細菌叢のアンバランスによる炎症性疾患
狩猟採集民は非常に豊かな細菌叢を有している
食品添加物は細菌叢を変質させる
ビスフェノールAとグリホサート
抗生物質は集約畜産の動物を太らせる
何が人間の肥満を引き起こすか
「肥満症患者は新型コロナ感染症で死亡するリスクが高い」
第11章 細菌は地球の健康(プラネタリー・ヘルス)に寄与する
ヨーロッパにおけるユニークな研究計画
細菌は医薬品に働きかける
個々人に即したプロビオティックとプレビオティック
食物繊維の効用と〈的確な栄養摂取〉
生乳チーズ万歳、発酵食品万歳!
〈便宜的〉帝王切開の問題性
牛小屋の埃と鼻スプレー
コンクリートの遊び場はやめよう!
森林療法──新たな予防療法
細菌で市民と政治家を結びつける
訳者あとがき
文献注