第1部 思考実験
第1章 なぜアーレントは戦後ドイツ語で「書く」ことができたのか (矢野久美子)
一 戦後の出会い
二 ヤスパースをつうじて
三 書くことによる「帰郷」
四 個から個へ
第2章 自発的隷従とは何か──ラ・ボエシー『反一者論(コントラン)』をめぐって (大中一彌)
はじめに 自発的隷従は悪か
一 自然本性としての自由
二 僭主政下における人間
三 支配のメカニズム
おわりに 知識人と言説の役割
第2部 文化的基礎
第3章 「合言葉」と声の“Popularity”──「本能」をめぐって (木戸雄一)
一 はじめに
二 「本能」と美的生活論争
三 「美的生活を論ず」の方法
四 「馬骨人言」の方法
五 おわりに
第4章 私が私であり続けるためにあなたと共に生きる──強制収容所の女性サヴァイヴァーは苦境をどう生き抜いたのか (紺野茂樹)
一 問題設定
二 強制収容所の目的は被収容者の死
三 アウトカースト、アウトサイダー、インサイダー
四 女性サヴァイヴァーの新しい「家族」
五 非家父長制的「家族」の歴史的先駆としてのイエスたちのプロジェクト
六 苦境を共に生き抜いた「家族」をどう解釈し、そこから何を導き出せるか
第5章 アーシル・ゴーキーとシュルレアリスム (平野千枝子)
はじめに アーシル・ゴーキーと二〇世紀の経験
一 ゴーキーとシュルレアリスム
1 シュルレアリスムとの出会い
2 亡命期のシュルレアリスム
二 触媒としてのシュルレアリスム
1 コーコムとソチ ミロによる解放
2 自由なアナロジー ゴーキーのシュルレアリスムとブルトンの評価
3 ゴーキーとオートマティスム
終わりに
第3部 運動=言説
第6章 エリック・フェーゲリンの政治神学
はじめに
一 キリストの神秘体
1 キリストの王国
2 個別共同体
二 政治宗教
1 錯綜する宗教と政治の関係
2 世界内的宗教
三 グノーシス主義
1 三層化される政治における代表
2 グノーシス主義
むすび
第7章 非暴力の力とは何か──ガンディーのサッティヤーグラハから考える (福本圭介)
一 暴力・自治・サッティヤーグラハ
二 非暴力による暴力からの脱出
三 植民地主体と暴力
四 魂の力
五 非暴力的非協力
六 予示の政治、あるいは、種子になること
七 対抗権力
八 結び
あとがき