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アニメとプロパガンダ

第二次大戦期の映画と政治

著:セバスチャン・ロファ
他訳:古永 真一
他訳:中島 万紀子

紙版

内容紹介

第二次大戦期に開花した総合芸術であるアニメーション映画は、枢軸国/連合国を問わず、世界各国で戦時動員の手段となった。日独伊および米英仏ソ中を中心に、一九三〇〜四〇年代に制作されたおびただしい数の宣伝映画作品を歴史の忘却から掘り起こし、草創期アニメ界の群像を活写するとともに、そのイデオロギーと詩学を読み解く稀少な研究。刊行後好評を博す原本に多数の図版を加えた日本語増補版。

目次

序 論

第一章 枢軸国──東京,ローマ,ベルリン
日本のアニメ
イタリアのアニメ
ドイツのアニメ
(ナチスとミッキー・マウス/映画統制とその経済的背景/リーフェンシュタール,フォード,ウォルト・ディズニー/国家社会主義のジレンマ/映画業界の支配とプロパガンダの実践/「退廃芸術」への抑圧/映画の略奪と対抗宣伝/反ユダヤ主義のアニメ/宣伝教育/ドイツ・アニメーション映画会社/ハンス・フィッシャーケーゼン)
ドイツ支配下のヨーロッパ・アニメ
(ベルギー/デンマーク/ノルウェー/オランダ/チェコスロバキア/ギリシャ/第三帝国の崩壊)
コラム * アニメーション,プロパガンダ,中立国
(スペイン/スイス/スウェーデン)

第二章 フランスは例外か?
三〇年代と奇妙な戦争
映画産業の新体制
アニメーション制作の組織
アニメーションの二つの様式の対立
新しい美学を求めて
アニメーションと反ユダヤ主義
エピローグ──釈明のとき
コラム * アニメーション,プロパガンダ,音楽

第三章 連合国
日本の中国侵略
ソヴィエトのアニメ
アメリカの戦争機械
(三〇年代──カートゥーンにとっての暗黒時代?/「真珠湾を忘れるな」──戦時のアメリカ/ワーナー・ブラザーズ・スタジオ/メトロ=ゴールドウィン=メイヤー/ウォルト・ディズニー・スタジオ/プロパガンダ・人種差別・カートゥーン/プロパガンダ・軍隊・カートゥーン/プロパガンダ・検閲・カートゥーン/ユナイテッド・プロダクションズ・オブ・アメリカの革新)
日常生活に耐えるイギリスのプロパガンダ
カナダ国立映画制作庁
コラム * アニメーション,プロパガンダ,動物

結 論/訳者あとがき/原注/文献一覧/原資料/索引

著者略歴

著:セバスチャン・ロファ
1980年生まれ。歴史家、アニメ研究者。パリ郊外にあるオー=ド=セーヌ県ピュトー市のルクレール元帥中学で教鞭をとりつつ、アニメに関する講演や執筆を精力的に展開している。本書のほか、著書にDisney et la France : les vingt ans d'Euro Disneyland(L'Harmattan, 2007)、Propagandes animées : le dessin animé politique entre 1933 et 1945(Bazaar&Co, 2010)がある。
他訳:古永 真一
1967年生まれ。パリ第七大学留学を経て早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。早稲田大学ほか非常勤講師。著書に『ジョルジュ・バタイユ 供犠のヴィジョン』(早稲田大学出版部、2010年)、『BD 第九の芸術』(未知谷、2010年)。訳書にバタイユ『聖なる陰謀─アセファル資料集』(共訳、ちくま学芸文庫、2006年)、グルンステン『線が顔になるとき─バンドデシネとグラフィックアート』(人文書院、2008年)、ラバテ『イビクス』(国書刊行会、2010年)ほか。
他訳:中島 万紀子
1973年生まれ。リヨン第2大学DEA課程修了、早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程満期退学。早稲田大学非常勤講師、昴教育研究所フランス語講師。著書に『大学1・2年生のためのすぐわかるフランス語』(東京図書、2005年)、訳書にボン『ローリング・ストーンズ─ある伝記』(現代思潮新社、2006年)、クノー『サリー・マーラ全集』(水声社、近刊)ほか。

ISBN:9784588420115
出版社:法政大学出版局
判型:A5
ページ数:438ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2011年07月
発売日:2011年07月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF