まえがき
第Ⅰ部 西洋の医学教育
第1章 ヨーロッパの医学教育史〈1〉──十八世紀以前の西洋伝統医学教育 【坂井建雄】
1 中世〜十五世紀──古典文献の注解、理論と実地への分離
2 十六世紀以後──包括的教科書による授業、主要四教科の成立と変遷
3 十六〜十八世紀の諸大学の事例──パドヴァ、ヴィッテンベルク、ライデン
4 十八世紀以前ヨーロッパの西洋伝統医学教育──総括と概観
第2章 ヨーロッパの医学教育史〈2〉──十九世紀以後の西洋近代医学の成立と特徴 【坂井建雄】
1 十六世紀から現代まで、ハイデルベルク大学での医学教育
2 解剖学の起源と変遷
3 生理学の起源と変遷
4 薬剤学から薬理学へ
5 病理学の起源と変遷
6 生化学の起源と変遷
7 衛生学の起源と変遷
8 細菌学の起源と変遷
9 内科学の起源と変遷
10 外科学の起源と変遷
11 十八世紀以前の西洋伝統医学から十九世紀以後の近代医学へ
12 西洋伝統医学から西洋近代医学へ、ヨーロッパの医学教育の変化と継承
第3章 近代ロンドンの病院医学校と医師資格制度──セント・トマス病院医学校を中心として 【永島 剛】
1 高木兼寬の留学
2 近代移行期の医学教育におけるロンドンの台頭
3 十九世紀ロンドンの篤志病院医学校
4 病院医学校と医師資格
5 「臨床」と「科学」と
第Ⅱ部 日本近世の医学教育
第4章 江戸時代の医学教育〈1〉──瀬戸内地方の事例を中心に 【町 泉寿郎】
1 前史──曲直瀬道三にみる十六世紀後半における医学知識の伝達
2 江戸初期における初級医薬知識の習得
3 江戸前期における出版文化と医学知識の普及
4 江戸中期における古方派の盛行とその後の展開
5 徳川幕府における官立学校の形成
6 十六世紀後半の瀬戸内地域における医学知識の伝播
7 讃岐尾池家と備中赤木家の事例にみる古方派医学の伝播
8 備前中島家二代の京都遊学
9 備後福山藩における考証学と医学教育
10 結 語
第5章 江戸時代の医学教育〈2〉──米沢藩の事例から 【海原 亮】
はじめに
1 有壁家「当門下之法則」
2 上杉鷹山時代の医制整備
3 医学教育機関「好生堂」の教育
4 水野家文書「杏陰日録」にみる江戸遊学
5 幕末期有壁家の江戸詰御用と学問修業
おわりに
第6章 江戸時代の医学教育〈3〉──佐賀藩医学教育史 【青木歳幸】
1 江戸時代前期佐賀藩医の医学教育
2 佐賀藩医師の医学稽古
3 西洋医学との出会い
4 西洋医学教育の普及
5 種痘の導入と民衆
6 近代医学と佐賀藩
第Ⅲ部 日本近現代の医学教育
第7章 近現代の医学教育の概観──明治以後の医師養成制度と医学校の変遷 【坂井建雄】
第8章 近現代の医学教育の諸相〈1〉──十九世紀のオランダ語基礎医学教科書と蘭人教師たちの影響 【相川忠臣/ハルメン・ボイケルス】
1 西洋式近代医学教育の創始
2 ポンペの解剖学、生理学、病理学総論と化学のオランダ語講義ノートとその原典
A 解剖学
B 生理学
C 化 学
D 病理学総論
3 考 察
〈十九世紀のオランダ語基礎医学教科書 資料編〉
第9章 近現代の医学教育の諸相〈2〉──明治・大正・昭和初期の医師資格制度と医学教育機関 【澤井 直】
1 はじめに──医師資格規定と医学教育
2 明治初年の医学教育の状況──「医制」制定まで
3 「医制」制定
4 「医制」制定後の医学教育機関師免許制度
5 医術開業試験の実施と医師資格の確定
6 医学教育機関の変化
7 医師法制定
8 大学の伸長
9 明治後期から昭和初期にかけての医師構造の変化
10 結 び
第10章 臨床医学教育における医師と医学の原像と「執拗低音」──「ドイツ医学」と「アメリカ医学」の変容に関する一試論 【逢見憲一】
はじめに
1 開国、いわゆる「ドイツ医学」の導入
2 第二次大戦前のわが国の医学教育システムの成立
3 第二次大戦後のわが国の医学教育システムの成立
4 むすび──歴史から未来に向けて
第11章 臨床医学教育と疾病構造の変化──日本の結核史と結核教育史 【渡部幹夫】
はじめに
1 医学教育──世界的視点から見た日本の臨床医学教育史
2 疾病構造の変化──世界と日本の結核について
3 日本の結核史
4 内科学教科書の結核記述の変遷
5 疾病構造の変化と日本の臨床医学教育の課題
おわりに
第12章 昭和期における医療倫理教育──「医」の思想から「医学の哲学」へ 【勝井恵子】
はじめに
1 橋田邦彦とは──「葬られた思想家」の生涯
2 橋田邦彦における「医」の三要素──「医学」・「医術」・「医道」
3 「医行」・「格医」・「医人」──「医」の思想の実践と教育
4 「医」の思想から「医学哲学」へ──澤瀉久敬の「医学概論」
おわりに
あとがき
人名索引