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〈遊ぶ〉ロシア

帝政末期の余暇と商業文化

著:ルイーズ・マクレイノルズ
訳:高橋 一彦
訳:田中 良英

紙版

内容紹介

戦争と革命ではなく「余暇」で読み解くロシア。アスリートが映画スターに、給仕はレストランの支配人からエンターテイナーの世界を仕切る帝王へ。健康ブームがスポーツ熱を煽り、淑女たちはリングサイドでレスラーの裸身に嬌声を挙げる。劇場、スポーツ、観光旅行、ナイトライフ、映画など、様々に〈遊ぶ〉ロシアをカルチュラル・スタディーズの成果を縦横無尽に活用し、描写する。写真図版多数。

目次

謝辞

イントロダクション

第1章 ロシアにおける官製演劇の起源
劇こそまさにうってつけ
名優と崇拝者たち
リアリズム演劇──ジャンルと社会変容とのせめぎあい
オストロフスキーとミドルクラスの舞台化
劇作家というビジネス

第2章 官製演劇の商業化
新しい演劇の役者たち
国民としての観客
商業演劇──モスクワのコルシュ劇場とペテルブルクのスヴォーリン劇場
忘れられた劇作家とテーマ
社会派メロドラマにおける近代性
世代の対立
革命後の舞台、一九〇五―一九一七年
政治世界の舞台化
緞帳のうしろの革命
結論

第3章 モダンライフとしてのスポーツ
帝室馬場の民主化
ハンティング
スポーツとしての狩猟
運動の教授と体育教育
ヨットと自転車──移動とスポーツ
サッカー──チームと工場
ロシアの女性アスリート
ロシアのオリンピック選手──スポーツ・ナショナリズムの国際化

第4章 女優とレスラー──アイデンティティの生成
女優
レスラー
世紀転換期におけるジェンダー問題
ジェンダーの屈曲、そして境界線の監視

第5章 内外を旅するロシア人
ロシアの旅人
団体旅行とツーリズムの発達
温泉──国民国家としての帝国
ツーリストの視線
西欧のツーリストが見たロシア人
第一次大戦中の観光産業
結論

第6章 世紀末ロシアの夜に繰り出す
レストランの文化
幻想の夜を飛び回ること
小劇場
結論

第7章 ワルツの嵐──夜の世界の演目
私はショーに出られるかしら
今宵、コメディを
結論

第8章 帝政ロシアの夢工房
最新文化産業の発展
物語(ナラティヴ)を構築する
セリフのない著作
観客
ムーヴィー・パレス
映画界の成功者たち
映画を取り締まる
スターたちの肖像
結論

エピローグ

訳者解説
文献解題

索引

著者略歴

著:ルイーズ・マクレイノルズ
(Louise McReynolds)
1952 年生まれ。ダラスのメソジスト大学でジャーナリズムを学び、卒業後はロシア史に転じて、1984 年にシカゴ大学から学位を得た。その後はハワイ大学、そして2006 年からはノース・カロライナ大学で教鞭を取って、現在に至っている。近代ロシアのジャーナリズム史、文化史を専攻。著書に『ロシア旧体制下のニュース報道』、本書『遊ぶ』ロシア──帝政末期の余暇と商業文化』、および『よくあるロシアの殺し──帝政末期における本当の罪と罰』がある。他にジェームズ・フォン・ジェルダーンと共編したアンソロジー『ツァーリ・ロシアのエンターテイメント』、ジョアン・ノイバーガーとの共編になる論文集『人生の模倣──ロシア・メロドラマの2世紀』がある。
訳:高橋 一彦
神戸市外国語大学外国語学部准教授。近代法史。『帝政ロシア司法制度史研究──司法改革とその時代』(名古屋大学出版会、2001年)。
訳:田中 良英
宮城教育大学准教授。ロシア近世史。『エカチェリーナ2 世とその時代』(東洋書店、2009 年)。

ISBN:9784588371219
出版社:法政大学出版局
判型:A5
ページ数:502ページ
定価:6800円(本体)
発行年月日:2014年10月
発売日:2014年10月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DTA