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ヘイトスピーチの何が問題なのか

言語哲学と法哲学の観点から

編著:本多 康作
編著:八重樫 徹
編著:谷岡 知美

紙版

内容紹介

「言論の自由」や「表現の自由」との関係など、法規制の是非も含め、ヘイトスピーチをめぐる議論は錯綜している。ヘイトスピーチそれ自体の悪さは、話し手の意図にあるのか、言葉それ自体にあるのか、言葉において実行される行為にあるのか、あるいはその行為が惹き起こす結果にあるのか。言語哲学、法哲学、情報学、文学の学際的観点から、ヘイトスピーチと差別に関する問題の本質を究明する。

目次

序論──ヘイトスピーチの何が問題なのか
本多康作

第1部 言語哲学から

第1章 発話行為を越えて──ヘイトスピーチと規範制定の遍在について
メアリー・ケイト・マクゴーワン/谷岡知美゠訳

第2章 ヘイトスピーチとマイクロアグレッション──相違点と共通点
池田喬

第3章 ヘイトスピーチ・推論主義・社会集団
堀田義太郎

第4章 発話の害の構成的説明は因果を気にしなくてもよいのか
八重樫徹

第5章 ヘイトスピーチに対する語用論的アプローチ
萬屋博喜

第2部 法哲学から

第6章 二一世紀における思想の市場
ロバート・マーク・シンプソン/八重樫徹・谷岡知美゠訳

第7章 ヘイトスピーチは罰しうるのか、そもそも罰すべきなのか
ロバート・マーク・シンプソン/永石尚也・本多康作゠訳

第8章 相対主義者は、ヘイトスピーチにどこまで対抗できるのか
川瀬貴之

第9章 オンライン上のヘイトスピーチと法的介入のグラデーション──ソーシャル・メディア・プラットフォームとの協働から
永石尚也

第10章 表現の自由の(法)哲学的基礎──Frederick SchauerのFree Speechをてがかりに
三浦基生

第3部 情報学と文学から

第11章 人間社会における差別に関するエージェントベースシミュレーション
加藤浩介・本多康作・末原隆希・松原成那

第12章アメリカにおける猥褻表現──『吠える』裁判(一九五七)を中心に
谷岡知美

執筆者・訳者紹介

著者略歴

編著:本多 康作
本多 康作(ホンダ コウサク)
神戸大学大学院法学研究科理論法学専攻博士後期課程修了。博士(法学)。摂南大学法学部准教授。法哲学。主な業績に、本多康作・蓮沼啓介「いかにして『合意は拘束する(pacta sunt servanda)』のか──発話行為に伴う力(forces)の観点から」(『法哲学年報 2023』、2024年掲載予定)、「差別発言の潜在力──発話行為に伴う力(forces)とは何か」(『法哲学年報2021』、2022年)、「差別発言の発話行為論的分析──H.L.A.ハートの法理論を補助線に用いて」(『法哲学年報2017』、2018年)、ほか。
編著:八重樫 徹
八重樫 徹(ヤエガシ トオル)
東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻博士課程修了。博士(文学)。広島工業大学工学部准教授。哲学、倫理学。主な業績に、『フッサールにおける価値と実践』(水声社, 2017年)、「(ポルノ化した)社会の中のポルノの哲学──スリニヴァサン「ポルノについて学生と話すこと」を読む」(『フィルカル』Vol 8, No. 2, 2023年)、ほか。
編著:谷岡 知美
谷岡 知美(タニオカ トモミ)
広島女学院大学大学院言語文化研究科英米言語文化専攻博士後期課程修了。博士(文学)。広島工業大学工学部准教授。英文学、英語圏文学。主な業績に、『アレン・ギンズバーグ──カウンターカルチャーのビート詩人』(英宝社、2011年)、谷岡知美・本多康作「詩と発話行為論──『吠える』裁判(1957)におけることばの猥褻性」(『英語英文學研究』第67巻、2023年)、ほか。

ISBN:9784588151361
出版社:法政大学出版局
判型:A5
ページ数:330ページ
価格:4000円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB