まえがき
第1章 バタイユとはどういう人だったのか
1 生きることを不可能にするアナーキズム
2 アナーキズムの根源へ
3 意味の覇権に屈する若きバタイユ
4 情熱のゆくえ
第2章 現代のアナーキズムからアナーキーな中世へ
1 絶滅政策は狂気か
2 全部否定あるいはアナーキズムの知的側面
3 ベルナルドゥスの教え
4 聖母マリア信仰を脱構築する
5 二人の建築工匠
6 森の中で愛する人を切り砕く騎士
第3章 ヨーロッパの二つのトポス
1 「すべては許されている」
2 ヨーロッパ的・キリスト教的自由精神とアナーキズム
3 キュニコス派の演劇性
4 アナーキズムの根源へ
5 「不可能なもの」への欲求
第4章 内的体験のアナーキーな次元
1 アナーキーをどう捉えるか
2 マラテスタの定義
3 アナーキーなフランス現代思想
4 ナンシーの見方
5 存在論のほうへ
6 バタイユの蹉跌
7 再びシェストフへ
8 内的体験をどの次元に見るか
9 彷徨う自分をさらけだす
第5章 頭部への否定
1 三島事件
2 無のはずが別の有を、有のはずが別の無を……
3 最後の対談から
4 バタイユと斬首
5 神の不在
6 斬首の根源へ
第6章 法廷での笑い
1 アナーキーな諸力のゆくえ
2 行動派アナーキストの時代
3 時代背景とフェネオンの思想
4 法廷を沸かすフェネオン
5 潜在的な炎
6 近代人は働くミイラ
7 アナーキズムも花火のように散っていく
8 笑いの悪魔性
第7章 海を見つめる
1 アナーキーな海
2 海だけは勘弁してくれ
3 基盤への欲求
4 自然界のなかへ消えていくサドの墓
5 ボードレールへ
6 セイレーンの笑い
第8章 ボードレールの「白鳥」と共同体喪失者の共同体
1 アナーキーな共同体論
2 空間のエグザイルと時間のエグザイル
3 記憶の森の豊饒
4 ボードレールの「現代性」と近代の未来志向
5 はかなき現在時の詩人
6 ユゴーとの交信
7 意識の体験
8 詩人と事物の間に介在する半透明な何か
9 都市改造と川の流れ
10 三千年前の寡婦
11 共同体喪失者への開かれた呼びかけ
第9章 シュルレアリスムへの問いかけ
1 シュルレアリスムと戦後のバタイユ
2 群衆に向けて発砲する
3 ハイデガーともサルトルとも違う「決断」
4 アンドレ・ブルトンの実存は人間の運命に達する弾道弾だった
5 「語る」ことの危険性
6 現代の二つの展望
7 アナーキーな生命力と「物の力」
第10章 焚書への意志──カフカの曖昧さ
1 バタイユのカフカ論
2 共産主義からの批判
3 カフカをどう捉えるか
4 カフカと「黒い文学」
5 凍結した海を砕く斧
6 行動とはなにか
7 欲求か欲望か
8 二つの焚書への意志
第11章 フライパンをかぶるカフカ──そのアナーキーな微笑
1 あるアナーキストの追想から
2 敵は私のなかの彼
3 言語のより大きな枠組みへ
4 法の言葉の矛盾
5 死の支配に抗して
6 大人の時間のなかで遊ぶ子供の宇宙時間
第12章 憎悪の支配──ファシストを化け物として排除したがる我々
1 あいつさえいなければ
2 メディアによる束縛
3 目覚め
4 強制収容所の報告から
5 腐植土の唯物論
6 過剰さを化け物としてしりぞける近代
7 ニーチェの笑いのほうへ
8 ハイデガーとファシズム
9 ある編集者の介入
10 ファシズムは悪なのか
11 初期ハイデガーの矛盾
第13章 キルケゴールあるいは生成する関係性
1 キルケゴール像の転換へ向けて
2 フランスのキルケゴール受容
3 キリスト教と官能の相互関係性
4 生成する自我
5 断罪から観照へ、そして郷愁から再体験へ
6 豪奢なる神と人の演技
第14章 宇宙的豊饒と宗教秘密結社アセファル
1 失敗から学べないもの
2 宇宙的豊饒
3 古代人とイエス
4 宗教とはなにか
5 「秘密」の危険性
6 教えることのできないものを教えようとしたニーチェ
7 ニーチェの遺稿断章
8 エトナ山登頂の恍惚
第15章 内奥からの体制転覆──バクーニンへの秘められた友愛
1 ある研究者の贈り物
2 バクーニンからヴェネヴィーチノフへ
3 国家から追放されるのではなく、国家に役に立つ詩人になりたい
4 ヘーゲルのほうへ
5 内奥性とは何か
6 内在化の道
7 アナーキーのゆくえ
8 「使い道のない否定性」
9 ある詩人からの贈与
註
あとがき
人名索引