ヒューム読本
新装版
編:中才 敏郎
内容紹介
イギリス経験論哲学の最高峰、デイヴィッド・ヒュームの思想世界――9人のヒューミアンが最新の研究を踏まえ、その魅力と豊かな問題性を照射する読解・研究入門。
目次
凡例
ヒュームの生涯と著作──まえがきに代えて
はじめに
一 若きヒュームの思想形成
二 『人間本性論』
三 大学教授の夢
四 『イングランド史』
五 パリ滞在
六 晩年
I
ヒュームの哲学的立場
一 問題の設定
二 自然主義とはどんな考えのことか
三 ヒュームにおける目標と方法
四 ヒュームの「人間本性」分析
五 因果性と自然主義
六 「情念論」「道徳論」と自然主義
七 政治学と人間本性あるいは自然主義
八 自然主義と学問的立場
II
自由・偶然・必然──ヒューム因果論が遭遇する暗黒
一 未来視線と過去視線
二 過去からの束縛
三 他人称的な過去形
四 他行為可能性から偶然性へ
五 責任能力という陥穽
ヒュームにおける心の理論──心的実体の観念と心身問題について
はじめに
一 ヒュームの主題と方法
二 心的実体の観念の問題
三 心身問題(一)──心的実体と身体の場所的連結としての
四 心身問題(二)──心身の相互作用関係としての
おわりに
懐疑論──ヒュームによる認識論的規範性の見直し
はじめに
一 ヒュームの議論に関する典型的解釈
二 ヒュームの「全面的懐疑論」
三 反基礎づけ主義による疑いの解消の不充分
四 「全か無か」のディレンマと人間本性の自然な傾向性
五 「全か無か」のディレイマのヒュームによる解決
おわりに
ヒュームにおける宗教と哲学──神、世界、因果
はじめに
一 奇跡──『知性研究』第10節
二 宗教的仮説──『知性研究』第11節
三 人間本性における宗教の起源──『自然史』
四 計画性からの論証──『対話』その一
五 真なる宗教と偽なる宗教──『対話』その二
おわりに
III
ヒュームの情念論
はじめに
一 「情念論」の位置づけ
二 「知性論」および「道徳論」との結びつき
三 情念の位置づけ
四 穏やかな情念と激しい情念
五 直接情念と間接情念
六 反省的印象としての快苦
七 間接情念
八 間接情念の「間接性」
おわりに
ヒューム、その道徳哲学の視野
はじめに──感情の事実と道徳の規範
一 道徳感情と人格への顧慮
二 人為的な徳と社会的世界
三 事実と規範再び
ヒュームにおける社会科学の生誕
はじめに
一 理性主義哲学の批判と社会科学の方法
二 社会科学における因果法則と人間の自由
三 法則科学としての「政治学」
四 社会科学における偶然と必然
五 文明の学としての社会科学
哲学的精神と時代の精神
はじめに
一 人間本性の斉一性と文明の盛衰
二 一般的原因と偶然
三 歴史の効用
四 「時代の精神」
研究案内・年譜
ヒューム研究案内
一 ヒュームのテキスト
二 邦訳
三 ヒューム研究
四 日本におけるヒューム研究
ヒューム関係年譜
あとがき──ヒューミアンであるとはどのようなことか?
索引(人名・事項)