杉田玄白と江戸の蘭学塾
「天眞樓」塾とその門流
著:片桐 一男
内容紹介
蘭学はどのように隆盛したのか。
江戸時代の蘭学者・杉田玄白が開いた蘭学塾「天眞樓」に着目、その知られざる活動の実態や教育方針を初解明、後世への影響を初公開史料から明らかにする。
さらに玄白の門弟・大槻玄沢や、前野良沢門下の江馬蘭斎、玄白と交流のあった吉雄耕牛、蘭学界を牽引した馬場佐十郎や海上随鴎門下の人びと、塾の門人帳や蔵書目録・訳著目録などの史料を解読・分析、蘭学が医者から武家へ、医学から兵学へと推移しながら発展していく、継承の軌跡をたどる。
【本書の特色】
◎「天眞樓入門条制」「庸医 天眞樓蔵療具図攷」「清曠樓外科療具録」などの初公開史料を解読し、杉田玄白が開いた蘭学塾の実態を明らかにする。
◎主要な蘭学塾のオランダ語、医学、兵術の教授法・思想を紹介。
目次
はじめに
出島のオランダ商館付き医師
蘭学の創始とその継承
Ⅰ 杉田玄白の「天眞樓」
一 「天真樓」塾名
二 学究から行動の人へ
三 「天真樓入門条制」
四 天眞樓の遺誡十二箇条
五 「瘍科医用天眞樓蔵療具図攷」
六 「清曠樓蔵外科療具録」
七 「杉田氏家蔵方」
1 天眞樓坐右方
2 杉田家蔵方
八 参集の門下生
九 天眞樓 塾生名簿
十 教育―講義・テキスト・分量・速度―
Ⅱ 大槻玄沢の「芝蘭堂」と「載書」
一 「芝蘭堂」と大槻玄沢の有名要素
二 「芝蘭堂」をめぐる諸問題
三 門人帳『載書』
1 覆刻『載書』
2 門下生調査1―悉皆調査の試み
3 門下生調査2―総合分析の試み
4 門下生調査3―越後の門下生
四 大槻玄沢の長崎遊学
1 大槻玄沢の長崎遊学
2 大槻玄沢の長崎における見学
3 江戸のオランダ正月
4 オランダ正月と鷹見泉石
むすび
Ⅲ 吉雄耕牛の「成秀館」
一 吉雄家のオランダ語
二 成秀館の教授
1 「授吉雄家学之秘条」
2 「免状」
三 成秀館の蔵書
四 吉雄耕牛の訳書
吉雄耕牛著訳書目録
五 「スウィーテン水」の伝来
1 ツュンベリーの証言
2 スウィーテン水
3 『紅毛秘事記』
4 杉田塾が伝える
六 二階オランダ坐舗
七 米沢藩医高橋玄勝の書翰が伝える
八 刺鍼法を伝えた人びと
九 吉雄の成秀館をめぐる検証の総括
Ⅳ 江馬蘭斎の「好蘭堂」
一 塾名 好蘭堂
二 蘭学の師
三 蘭斎の「単語帳」
四 開塾・期間
五 出世のきっかけ
六 新元会に出席
七 「門人姓名録」
八 『格物堂社中門人姓名録』
格物堂社中門人姓名録
九 蘭斎門下の双壁
十 蘭斎の訳著
十一 家訓・家法など
1 好蘭斎家訓
2 家訓十二箇条(江馬春斎筆より)
3 余が祖父蘭斎翁家法(江馬元益筆より)
Ⅴ 馬場佐十郎の「三新堂」
一 オランダ語の師
二 天文台官舎内「三新堂」
三 馬場佐十郎のオランダ語文法書
四 『西文規範』とパーム原書
1 『西文規範』の現存写本
2 内容構成
3 パーム蘭文原書
4 蘭文原書による内容検討
5 翻訳方針
6 翻訳振り一斑
7 未発見の「後篇」
8 『西文規範』の意義
五 『蘭学梯航』について
1 現存写本
2 内容構成
3 引用書と参考蘭文原書
4 『蘭学梯航』の意義
結び
Ⅵ その後の蘭学塾と門人帳
一 稲村三伯(海上随鴎)の「社盟録」
二 藤林普山の「玉川堂」と「瑶川堂」
三 小森桃塢の「素診館」
1 「素診館社盟録」
2 門人帳の題言
3 入門式
四 坪井信道の安懐堂と日習堂
1 安懐堂と日習堂
2 坪井氏蘭書目
3 附 録
五 伊東玄朴の「象先堂」
附 録
六 蘭方医仁保春菴・河内蘭斎片影
七 川本幸民の「静修堂」
八 緒方洪庵の適塾
九 吉田長淑の「蘭馨堂」
十 土生玄碩の「迎翠堂」
十一 シーボルトの鳴滝学舎
十二 佐藤泰然の「順天堂」塾
十三 松本順の「登籍人名小記」
十四 青木周弼の門人
十五 広瀬元恭の「時習堂」
十六 大村益次郎の「鳩居堂」
十七 高島秋帆の門人
十八 江川坦庵の門人
十九 佐久間象山の塾
おわりにかえて
ISBN:9784585320043
。出版社:勉誠出版
。判型:A5
。ページ数:288ページ
。定価:7000円(本体)
。発行年月日:2021年07月
。発売日:2021年07月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDX。