中世神道入門
カミとホトケの織りなす世界
監:伊藤 聡
監:門屋 温
他編:新井大祐
内容紹介
日本古来の思想でありながらも、時代とともにめまぐるしい変化を遂げてきた「神道」。
中世日本では、仏教と神道の融合現象―「神仏習合」が極めて発展的な展開をみせ、
伊勢神道・両部神道・吉田神道など、さまざまな神道の諸派が生まれた。
また、儀礼のありかた、体系的に組み合わせられた空間・図像・言説などにより、独自の世界観・世界像を築き、同時代の宗教のみならず政治・文化にも多大な影響を与えてきた。
近年、急速に研究の進展する「中世神道」の見取り図を、「神道の諸派」「基本的な概念」「中世の神々」「神話モチーフ」「神道をめぐる人々」「イメージ」「神道書」などテーマごとに立項し、第一線で活躍する研究者が、多数の図版とともにわかりやすく解説する決定版!
目次
序 言
1 総 論
1 中世神道とは
中世神道とは
〔通史〕古代から中世へ
〔通史〕中世神話・中世日本紀
〔通史〕中世から近世へ
〔通史〕近世からみた中世
2 神仏習合の諸相
神身離脱
護法善神
本地垂迹説
御霊信仰
神国思想
神観念
【コラム】
「習合」という用語/中世神話と仏教の注釈伝統
3 中世神道流派概説
両部神道
伊勢神道
山王神道
三輪流神道
御流神道
吉田神道と吉田家
浄土系諸派と神道
4 神道伝授のかたち
神道灌頂
神道書の形態
【コラム】
中世神道と仏教普遍主義
2 中世の神々
1 古典神の変貌
国常立尊・天御中主神
天照大神
月読尊
素戔嗚尊
蛭児(恵比寿)
天児屋命
2 広がる信仰
八幡
春日
住吉
稲荷(荼吉尼天)
三輪
日吉山王
天神
熊野
諏訪
二所(伊豆山・箱根)三嶋
富士浅間
3 習合神の諸相
牛頭天王
蔵王権現
清瀧権現
赤山明神・新羅明神
摩多羅神
宇賀弁才天
荒神
童子神
妙見
4 鎌倉仏教の神
三十番神
禅と神々
【コラム】
中世神道・中世の習合神と芸能―金春禅竹『明宿集』を通して
3 中世神話のモチーフ
第六天魔王と大日印文
盤牛王―陰陽道の神話
天竺からの飛来・漂着
野馬台詩と百王思想
神功皇后説話の変容
藤原氏の神話
呉太伯後裔説
家・職・芸の神話
【コラム】
中世宗教における身体性および性の問題
4 中世神道のイメージとイコノロジー
1 神器・神宝
三種の神器
十種神宝
御正体
2 神宮をめぐるイコン
心御柱
御形文・千木・堅魚木
屋形文錦・小車文錦
3 神道説と図像
『麗気記』神体図
『両宮本誓理趣摩訶衍』・『天照皇大神遷幸時代抄』・『日諱貴本紀』
日本図
4 神道曼荼羅
本地仏曼荼羅/垂迹曼荼羅/本迹曼荼羅
宮曼荼羅/参詣曼荼羅
【コラム】
天河弁才天曼荼羅
5 中世神道をめぐる人々
重源
貞慶
度会行忠
叡尊・覚乗
度会常昌(常良)
慈遍
文観
度会家行
北畠親房
釼阿
了誉聖冏
吉田兼倶
【コラム】
偽書・偽経(仮託書)
6 中世神道書の世界
1 中世日本紀
古事記・日本書紀・旧事本紀・古語拾遺
日本紀注釈
【コラム】
中世神道研究における「風土記」の可能性
2 両部神道
中臣祓訓解
麗気記
鼻帰書
三輪大明神縁起
【コラム】
中世神道書における仏教語彙(1) 『大和葛城宝山記』
3 伊勢神道
倭姫命世記
伊勢二所太神宮神名秘書
* *
太神宮参詣記
豊葦原神風和記
【コラム】
中世神道書における仏教語彙(2) 「仏法神道麗気記」『三輪大明神縁起』
4 山王神道
耀天記
山家要略記
渓嵐拾葉集
5 吉田神道
唯一神道名法要集
神道大意
6 その他
神道集
諸神本懐集
番神問答記
神皇正統記
【附説】
欧米言語による中世神道研究
【附録】
中世神道研究のための文献リスト
あとがき
執筆者紹介