琉球船漂着者の「聞書」世界
『大島筆記』翻刻と研究
編:島村 幸一
紙版
内容紹介
宝歴十二年(1762)旧暦四月、薩摩へ向かう一艘の琉球船が暴風雨に遭遇し、土佐へ漂着した。
土佐藩の儒者戸部良熈が、乗船していた琉球人潮平親雲上から聞き書きをとり、琉球側からの提出資料とともにまとめたもの、それが『大島筆記』である。
優れた教養を有した二人の邂逅により纏められた本書は、琉球王府が編纂した資料では窺えない、当時の琉球人が語った貴重な情報に満ち溢れている。
漂着の次第はもとより、琉球の地誌全般、当地における文芸や言語、風俗、さらには、中国や日本など琉球を取りまく地域との交流・交叉の諸相を伝え、江戸期の琉球認識などを知るためにも貴重な資料である。
諸本のうち最も内容の備わった最善本を初めて全編翻刻、校異を付し、さらに琉球船の土佐への漂着に関する貴重資料『琉球船漂恙記』『韓川筆話(抄)』『琉球人話』を収録。
研究篇として、文献学・文学・文化史・外交史・空手史・言語学等に関する充実の論考六篇を収載した決定版。
目次
はじめに 島村幸一
第1部 翻刻編
大島筆記(国立国会図書館所蔵)
附録『大島筆記』に関連する資料
琉球船漂恙記(高知県立図書館所蔵)
韓川筆話【抄】(国立国会図書館所蔵)
琉球人話(安芸市歴史民俗博物館所蔵)
第2部 研究編
宝暦十二年琉球国船漂着記録「大島筆記」諸本について 横山學
土佐国漂着の琉球船「聞書」資料の世界―『大島筆記』を中心に― 島村幸一
琉球人の唐旅見聞談について 真栄平房昭
近世における琉球人の日本漂着 屋良健一郎
『大島筆記』をめぐる唐手の「伝来」に関する一考察 嘉手苅徹
『大島筆記』に記された琉球語 橋尾直和
あとがき 島村幸一
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