幕末明治 移行期の思想と文化
編:前田雅之
編:青山英正
編:上原麻有子
内容紹介
日本史上、前近代と近代をともに経験した稀有な時代、幕末明治期。
明治はそれ以前の日本をどのように背負い、切り捨て、読み換えていったのか。
忠臣・皇国のイメージ、出版文化とメディア、国家形成と言語・思想。3つの柱より移行期における接続と断絶の諸相を明らかにし、ステレオタイプな歴史観にゆさぶりをかける画期的論集。
目次
序 言 前田雅之
第一部 忠臣・皇国のイメージ
帝国史観と皇国史観の秀吉像―『絵本太閤記』の位置 井上泰至
大槻磐渓と福澤諭吉―いわゆる「楠公権助論」をめぐる応酬について 合山林太郎
幕末・明治期の薩摩藩・島津家と泗川の戦い―『倭文麻環』にあらわれた事件認識をめぐって 鈴木彰
英雄の古層―日露戦争における武士と兵士のアナロジー 向後恵里子
折口信夫、異貌の神道へ―「現行諸神道の史的価値」を起点に 斎藤英喜
第二部 出版文化とメディア
石山合戦譚の変貌 塩谷菊美
三遊亭円朝「奴勝山」と絵姿女房譚 延広真治
細木香以・金屋竺仙の交友圏と幕末明治の文芸 丹羽みさと
幕末・明治の「実録種」抄録合巻―仮名垣魯文作『伊賀の仇討』を中心に 神林尚子
書籍業界における江戸時代の終わりかた 鈴木俊幸
切断の文字、あるいは文字の〈近代〉 鈴木広光
明治初期活版小説の出版―共隆社について 山田俊治
職業案内本の〈近代〉、あるいは時代閉塞の現状について 磯部敦
第三部 国家形成と言語・学問
七五調の幕末・明治―今様評価の変遷と加藤桜老編『古今今様集』 青山英正
「国文学」の明治二十三年―国学・国文学・井上毅 前田雅之
唐宋古文の幕末・明治―林鶴梁の作文論を中心に 山本嘉孝
漢文訓読の来し方行く末―独自の翻訳論を構築せよ 古田島洋介
自伝・回想録に見る明治文学の転換期―西南戦争後から日露戦争後まで 大東和重
近代日本の「コト作り」問題―『三四郎』(一九〇八)を例に 熊倉千之
近代日本と近代インドの比較可能性 臼田雅之
「女性哲学」へと向かう九鬼周造著『「いき」の構造』 上原麻有子
あとがき
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