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「ゆっくり歩いてるからね、早く来てよ」
その言葉を残して、弟の逢音は彩音の前から消えてしまった。
阿坂温泉太鼓、恩出橋のぎょろりさん。
逢音の「大好き」がつまった阿坂の地で、彩音の止まった時間が再び動き出す――。

著：熊谷千世子
長野県に生まれる。第4回椋鳩十記念伊那谷童話大賞、第19回小川未明文学賞優秀賞を受賞。おもな作品に『星明かり』『キャラメルの木のひみつ』（文研出版）、『星空の人形芝居』（国土社）、『風の神送れよ』（小峰書店・）などがある。信州児童文学会・日本児童文学者協会・日本児童文芸家協会会員。

絵：かない
神奈川県に生まれる。保育士としての勤務を経て、イラストレーターに転身。JIA Illustration Award 2022銀賞を受賞。おもな挿絵・装画作品に『君といた日の続き』（新潮社）、『藍色時刻の君たちは』（東京創元社）、『古典ことば選び辞典』（Gakken）、『変身―消えた少女と昆虫標本―』（文研出版）がある。