〔ドイツ語版〕緒言(一九九二年)
〔英語版〕緒言(二〇一〇年)
序 論
第一部 理論的基礎
第一章 想起の文化
序 言
1 過去の社会的構成――モーリス・アルヴァックス
(1)個人的記憶と集合的記憶
(2)想起の形象
(3)記憶 対 歴史
(4)まとめ
2 集合的想起の諸形式――コミュニケーション的記憶と文化的記憶
(1)「フローティング・ギャップ」――二つの記憶の様態(モーディー・メモランディー)
(2)文化的記憶の最初の組織形式としての儀式と祝祭
(3)想起の風景――「記憶の場所(ムネモトープ)」パレスチナ
(4)過渡的形式
3 文化的記憶の選択――「熱い」想起と「冷たい」想起
(1)「歴史感覚」の神話
(2)「冷たい」選択と「熱い」選択
(3)支配と記憶の同盟
(4)支配と忘却の同盟
(5)記録――歴史の管理か意味づけか
(6)絶対的な過去と相対的な過去
(7)想起の神話原動力
第二章 文字文化
1 儀式による一貫性からテクストによる一貫性へ
(1)反復と解釈
(2)儀式による繰り返しと解釈による現在化
(3)初期の文字文化――伝統の流れ
(4)カノン化と解釈
(5)反復と変異
2 カノン――概念の明確化
(1)古代の語義の歴史
(2)より新しい語義の歴史
(3)まとめ
第三章 文化的アイデンティティと政治的想像力
1 アイデンティティ、意識、再帰性
(1)人としてのアイデンティティと集合的アイデンティティ
(2)基本構造と強化形態
(3)アイデンティティ、コミュニケーション、文化
2 民族の生成(エスノジェネシス)――集合的アイデンティティの基本構造の強化
(1)統合と中心性
(2)区別と平等
第二部 事例研究
序 言
第四章 エジプトと国家の発明
1 エジプトの文字文化の基本的特徴
(1)統合の神話原動力
(2)「記念碑的言説」――権力と永遠の文字
(3)カノンとアイデンティティ
2 「カノン」としての末期神殿
(1)神殿と書物
(2)神殿のノモス
(3)プラトンとエジプトの神殿
第五章 イスラエルと宗教の発明
1 抵抗としての宗教
(1)「青銅の壁」の建設――正統実践による境界設定にいたるイスラエルとエジプトの道
(2)想起の形象としてのエクソドス
(3)記憶を形作る想起の共同体としての「ヤハウェのみ運動」
(4)抵抗としての宗教――(自)文化との対立から生まれた宗教
(5)ペルシアの文化政策としての伝統の回復
2 想起としての宗教――文化の記憶術の典型としての申命記
(1)忘却の衝撃――文化の記憶術の創始伝説
(2)想起の危機と、忘却の社会的条件
第六章 法の精神からの歴史の誕生
1 罰と救助を主調として歴史を記号化すること
(1)結びつける正義(ユースティティア・コネクティーウァ)
(2)紀元前一三〇〇年頃のヒッタイトの歴史記述
(3)救助を主調として歴史を記号化すること
2 意志の神学を主調として歴史を神学化すること――「カリスマ的出来事」から「カリスマ的歴史」へ
(1)記号と奇跡――歴史を神学化する第一段階としてのカリスマ的出来事
(2)歴史を神学化する第二段階としてのカリスマ的歴史
(3)罪の系譜学
第七章 ギリシアと思考の規律化
1 ギリシアと文字文化の結果
(1)アルファベットの文字体系
(2)文字体系と文字文化
2 ホメロスとギリシアにおける民族の生成(エスノジェネシス)
(1)ホメロスによって想起された英雄時代
(2)ホメロスを想起すること――古典と擬古典主義
3 ヒュポレープシス――ギリシアにおける文字文化と理念の進化
(1)ヒュポレープシスによって言説を組織する諸形式
(2)権威と批判を制度化するヒュポレープシスのプロセス
(3)思考には歴史があるか――ヒュポレープシスのプロセスとしての精神史
文化的記憶――総括の試み
訳者解説
[原題]Das kulturelle Gedächtnis: Schrift, Erinnerung und politische Identität in frühen Hochkulturen