挫折と向き合う心理学
青年期の挫折を乗り越えるための心の作業とその支援
監:高木 秀明
他編:安藤 嘉奈子
他編:小沢 一仁
内容紹介
子どもから大人への移行期=青年期に待ち受ける「挫折」。青年自身が挫折と取り組む方法とその意味、支援のあり方を丁寧に論じる。悩める青年、保護者、教師必読の一冊。
目次
第1部 挫折の背景にあるもの
第1章 挫折を乗り越える鍵
挫折とは/人生の各発達段階における挫折/挫折と変容
第2章 青年期の発達的変化と危機
青年期=子どもから大人への過渡期/身体的変化と危機/心理的変化と危機/人間関係の変化と危機/社会的変化と危機/変化と危機から挫折と変容へ
第2部 挫折の要因
第3章 親子関係における挫折と変容
親子という特殊な人間関係/「自分を探すこと」と「親から離れること」――ある大学生(男性)の事例/挫折と親子関係/挫折からの回復と親子関係/青年の挫折を「ほどよく」支えるために/挫折することの価値/親子関係におけるもう一つの挫折――人生最早期の傷つき
第4章 友人関係における挫折と変容
友人との出会い/わかり合えた友人との別れ――ある中学三年生(女子)の事例/青年期における友人関係の特徴――なぜ関係は破綻したのか/友人関係の挫折と向き合うことの意味/友人関係の挫折に対して身近な支援者ができること/友人関係の挫折を乗り越えるための心の作業の終結地点
第5章 恋愛関係における挫折と変容
安定した恋愛関係を支えるもの/愛と憎しみの強烈な体験――ある大学生(女性)の事例/青年期後期の恋愛関係の特徴/恋愛関係の挫折と向き合うことの意味/失恋した青年に対して身近な支援者ができること/失恋という挫折を乗り越えるための心の作業の終結地点
第6章 インターネット利用における挫折と変容
インターネット利用の状況とその影響/SNS疲れの事例――ある高校生(女子)の場合/SNS利用の問題/SNSとのつきあい方/保護者などの関わり方/インターネットのよりよい利用に向けて
第7章 いじめによる挫折と変容
いじめとは/仲間はずれによるいじめ――ある中学生(女子)の事例/いじめの背景にある思春期の仲間集団/昼食場面におけるいじめのつらさ/身近な支援者がいじめのサインに気づくことの重要性/いじめによる挫折から立ち直るための最終地点はどこなのか
第8章 不登校における挫折と変容
不登校とは/学校と家庭をつなぐ緩衝地帯――ある中学生(女子)の別室登校の事例/挫折のきっかけと変容・立ち直りの過程/具体的支援の方法/挫折を乗り越えるための心の作業の道筋
第9章 学業不振による挫折と変容
学業不振が学生に及ぼす影響/勉強のつまずき、どうしたらいいかわからない――ある中学生(女子)の事例/学業不振の背景にあるもの/学業不振による挫折からの立ち直りに必要な四つのこと/支援者ができることと具体的な支援の例/挫折を乗り越えるための心の作業の終結地点と今後の人生に続くこと
第10章 非行における挫折と変容
青年期の発達課題と克服手段――非行少年は特殊か?/非行からの立ち直り――保護観察処分になった少年(男子)の事例/挫折と非行の関係/立ち直りの過程と周囲からの支え/具体的支援の方法/挫折を乗り越えるための心の作業の終結地点
第11章 犯罪における挫折と変容
犯罪とは/日常に潜む罠――ある普通の青年が加害者・被害者となった事例/挫折の背景――なぜ、普通の青年が犯罪に巻き込まれたのか、その立ち直りに必要なものは/犯罪と挫折のその後
第12章 災害による青年の挫折と変容
はじめに/三宅島の子どもたちの避難生活の様子/災害後の子どもの心理的反応/孤独と挫折との関係/災害後の挫折を克服する
第13章 注意欠如・多動症による挫折と変容
注意欠如・多動症が成長にもたらす影響/ADHDによる学校場面での挫折――ある中学生(男子)の事例/学校場面における挫折の背景/ADHDによる挫折と向き合うことの意味/親や教師などの支援者に求められること/ADHDによる挫折を乗り越えるための心の作業の終結地点
第14章 自閉スペクトラム症による挫折と変容
自閉スペクトラム症とは/ASDをもって社会の中で生きること――ある社会人一年目の青年(男性)の事例/ASDによる挫折の背景/ASDの障害特性をもつ青年の挫折からの変容過程/親や職場の人が支援をしていくために/挫折を乗り越えた心の作業の終結地点にあるもの
第15章 うつ病による挫折と変容
うつ病の定義/闇の荒野をさまよう体験――ある大学生(女性)の事例/うつ病の発症の背景にあるもの/うつ病による挫折と向き合うことの意味/うつ病の青年に対して身近な支援者ができること/うつ病による挫折を乗り越えるための心の作業の終結地点
第16章 統合失調症による挫折と変容
統合失調症とは何か/妄想と幻聴を乗り越えて――ある青年(男性)の事例/統合失調症による挫折の構造/統合失調症による挫折と向き合うことの意味/統合失調症を発症した青年を支援するために/統合失調症による挫折と向き合い続ける意味
コラム1 関係意識が変化する過程での挫折と変容
コラム2 選択肢のない青年と「若い衆」を失った地域自治
第3部 挫折を支える方法
第17章 心理療法アラカルト
心理療法とは何か/心理療法とカウンセリングはどう違うのか/心理療法やカウンセリングにはどのような方法があるのか/心理療法やカウンセリングの過程はどのようなものか/心理療法やカウンセリングは万能なのか
第18章 支援の窓口とその実際
どこに行けば支援を受けられるのか/臨床心理学の支援内容/面接の枠組み
第19章 教養が育む心の充足
大人として社会の中で生きるために青年期に何を学ぶか/芸術作品との出会いが青年の心にもたらすもの/社会の中で大人として生きるうえでの教養の意味と大人の役割
第20章 まとめ――青年の挫折と支援のあり方
ISBN:9784571230615
。出版社:福村出版
。判型:A5
。ページ数:256ページ
。定価:2700円(本体)
。発行年月日:2020年01月
。発売日:2020年01月08日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA。