台湾が日本だった時代がある。1895年から1945年まで50年間、日本の植民地だった時代である。一体その頃の台湾人はどんな暮らしをし、どんな感情を抱いていたのか? その答えを求めて、埋もれていた歴史を掘り起こしたのが著者の陳柔縉である。彼女は戦後生まれのコラムニスト。本書を含む一連の回顧物でオーラルヒストリーブームを巻き起こし、今や台湾では日本統治時代を語る第一人者といわれている。▼本書で語られるのは、日本による統治制度や外交といった堅苦しい話ではない。市井の人々が当時実際に体験した事件やブームをまるでその場にいるかのようにディテール豊かに再現した。ダイヤ泥棒、イケメンセレブ、心中事件、皇族の訪問、日本留学ブーム、民主運動、果ては東京の台湾人まで、著者の好奇心は留まる所を知らない。▼台湾で発売されるや大反響を呼び、金鼎奨(台湾政府出版賞)を受賞した話題作である。貴重な写真も豊富に収録!