世阿弥の能楽論『風姿花伝』は、そこに記された「初心忘るべからず」「秘すれば花」といった言葉とともに、生きる上でも大切にした言葉として、時代を超えて多くの人の心に響いています。▼『風姿花伝』は、もともとは世間一般に向けたものではなく、家を継ぐ者に、稽古や演技、興行の要諦や芸道の奥義を伝えるための観世家の相伝の書として執筆されたものでした。▼本書は、 『風姿花伝』を観阿弥・世阿弥の嫡流観世宗家 観世清和氏自らが訳したものです。わかりやすく、語りかけるような訳文は、『風姿花伝』の真髄を読者に実感させてくれることでしょう。▼さらに、訳文のみならずエピソード豊富な解説も掲載されています。能に精通している方には世阿弥を身近に感じられる一冊として、また、能をまだよく知らない方にも日本文化の入門書となる読み物となっています。