2010年1月19日、日本航空は会社更生法の適用を申請した。日航グループの負債総額は、2兆3200億円。この目を疑うような額の債務が、なぜ今になっていきなり表面化したのか。著者は政治評論家という立場から、25年前より日航をめぐる「政官財の癒着」に着目、日航の会社組織の腐敗を指弾してきた。利用者の都合は二の次で、ひたすら航空運賃を高止まりさせてきた過去の歴史や、官僚とのもたれ合い、派閥抗争を繰り返して経営を歪めてきた労組の問題。これらを精査すれば、日航が更生することはあり得ない、と著者は断じる。その日航に偽りの再建計画をあてがい、貴重な税金を投げ入れることを、なぜわれわれが甘受しなければならないのか。一企業にすぎない日航に政府が肩入れすることは、自助努力で経営を続ける全日空にとってはアンフェアきわまりなく、自由競争の否定にほかならない。国民を馬鹿にしたこの茶番を、絶対に許してはならない。