ネパールの山に住んでいるヌンは三人兄弟の一番お兄さん。「ヌン」とは、ネパールの言葉で「塩」を意味します。ヌンは一ヵ月もの間父さんとお母さんが仕事でいえを留守にすることになり、そのるすばんの間兄弟の面倒を任されます。▼近所のおばさんが食べ物を届けてくれたり、村の長老的存在のおばあさんの不思議な力に助けられたりの毎日。妹が病気になって困惑する様子、お母さんの便りに喜ぶ話、意地悪ばあさんへのいたずらの話。どれもこれもいきいきとした生命力に満ち溢れ、静かに温かい読後感が広がります。▼著者は、同じアジアにありながら日本とはまったく違う生活をしている、ネパールのいきいきした子どもに魅力を感じて描きました。日本のこどもたちは世界でこんな生活をしているこどもがいることを知り、国際理解を深め、自分の生活を見つめなおすことでしょう。一話の短いお話が30入った構成で、日々の「読みきかせ」にぴったりの一冊です。