PHP新書 229
湯川秀樹の世界
中間子論はなぜ生まれたか
著:中野 不二男
紙版
内容紹介
1949年、42歳で日本人初のノーベル賞受賞に輝いた湯川秀樹。それは、「中間子論」の提唱から15年後のことだった――。▼19世紀末の物理学界は、欧米の研究者たちが原子の構造を次々と解明してゆき、「大発見の連鎖」とも言うべき熱狂時代であった。▼20世紀に入り、「陽子」「中性子」の存在が明らかになりつつも、それらを「結びつける力」だけが当時最大の「謎」として残った。国内で独自の研究を貫いていた20代の秀樹は、その「謎」に真正面から挑む。文字通り寝ても覚めても追究し続けた結果、あるヒントをきっかけに、遂に「新粒子」理論に辿りつく。▼日々確信を強めてゆく秀樹に対し、欧米の学会は無反応。やがて外界は戦争へ突入してゆく。だが、時代は着実に彼の「予言」の通りに導かれてゆくことになる。▼ノーベル賞受賞にいたるまでのその過酷な半生ドラマを通して、中間子論の真の価値を明らかにした、湯川秀樹ノンフィクションの決定版。
目次
●プロローグ 戦乱と研究 ●第1章 大発見の連鎖――19世紀末 ●第2章 原子の構造に迫る――1903年~1913年 ●第3章 “自分の世界”への静かなる挑戦――1914年~1932年 ●第4章 新しい粒子を求めて――1932年~1934年 ●第5章 国際舞台での苦闘――1934年~1939年 ●第6章 日本人初のノーベル賞受賞――1939年~1949年