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PHP新書 153

水の環境史

「京の名水」はなぜ失われたか

著:小野 芳朗

紙版

内容紹介

古来より、山紫水明の地と謳われてきた京都。しかし、明治に入り近代水道が建設されたことで、手入れのされなくなった井戸は涸れ、生活からかつての豊潤な名水は失われた。そして人々は現在、日本でも有数の「まずい」「臭い」水道水を飲んでいる。▼当時、「安全な水の確保」という大義名分のもと、東京に奪われた都の威信を取り戻したい市当局、水力発電による電力を確保したい事業家等、様々な勢力の思惑がはたらいた。その結論としての「上水道優先」「琵琶湖を唯一の水源とする」という選択は、安全な水環境の実現という点で、本当に妥当なものだったのだろうか?▼人間が築き上げた技術や産業、それにまつわる選択や政治的判断の歴史を、「環境」と関わりから再評価すること――それが、著者が提起する「環境史」の試みである。無数の論点が錯綜する環境問題、リサイクル問題を整理して考え、現実を評価するための有用な視点を提供する一冊である。

目次

●第1章 環境史の可能性 ●第2章 水道以前の水環境 ●第3章 博覧会・祇園祭とコレラ ●第4章 京都水道建設と陰影 ●第5章 大阪の水環境史 ●第6章 多元構造再考

ISBN:9784569616186
出版社:PHP研究所
判型:新書
ページ数:232ページ
定価:660円(本体)
発行年月日:2001年05月
発売日:2001年05月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS