サラリーマンが気楽な稼業といえなくなった昨今、サラリーマン以外の職業に関心が高まっている。お坊さんもその一つ。本書では、著者の体験談を元に、職業としての僧侶について語り明かしている。 著者のペンネームは牛次郎氏、といえばおわかりの方も多いだろう。『包丁人味平』で話題を呼んだ人気劇画家である。現在58歳の著者は12年前、思い立って臨済宗の禅僧となる。最初のきっかけは、「仏教用語辞典」をたまたま目にした時、自分の名前の由来が釈迦と深い関わりがあることを知ってからだ、という。その後、いざ僧侶となってみて様々な日常の変化が訪れる。読経、合掌、葬儀の進行等々、その作法のあれこれを写真とイラストで紹介する。 現在、寺院の後継者のほとんどが世襲制である。著者の願いは在家から禅僧になる人が一人でも増えることである。そのために本書を執筆したと語る。世にも稀、しかも本邦初の「お坊さんになるための案内書」である。