文庫クセジュ
ポピュリズムに揺れる欧州政党政治
著:パスカル・ペリノー
訳:中村 雅治
内容紹介
フランス流のアプローチ
ここ数十年、ポピュリズムという名の政治運動が、各国の選挙で注目を集めている。その思想の根本には民衆とエリートの対立という視点があり、それが現代の社会状況において新しい衣をまとって回帰している。その背景には、欧米における第二次大戦後の社会構造の変化――脱工業化社会の出現、グローバル化の進展、多国籍企業に代表されるいわば「匿名の」権力の拡大、新自由主義的EUの発展など――がある。こうした社会変化に適応できない民衆の不満・不安に答えたのがポピュリズムである。
著者パスカル・ペリノーは、政治学者でとりわけフランスの右派政党・国民戦線(FN)研究の第一人者である。長年所長を努めたパリ政治学院政治研究センターでは、大統領選挙、国民議会選挙、欧州議会選挙、地域圏議会選挙などの分析において中心的役割を果たしてきた。その著者が豊富な事例とともにポピュリズム現象を総括する。
目次
欧州主要ポピュリスト政党略記号一覧
序章
第一章 現象の特質
Ⅰ 非理念的アプローチ
Ⅱ 理念的アプローチ
Ⅲ 復活か発明か?
第二章 ポピュリズム現象を測定する
Ⅰ ヨーロッパにおけるポピュリズムの着実な拡大
Ⅱ 二〇一九年におけるポピュリスト諸勢力の状況
Ⅲ 権力の座についたポピュリズム
第三章 ポピュリズム現象の原動力
Ⅰ 脱工業化社会の経済的不調
Ⅱ 国外への開放がもたらす社会的・文化的不安
Ⅲ 代表民主主義への不満
Ⅳ 移民の拒絶
Ⅴ EUという怪物
Ⅵ グローバル化が生み出す匿名的社会に対する敵意
第四章 将来―ポピュリズムと民主主義の問題
Ⅰ 民主主義仮説の弱点
Ⅱ 民主主義の背景の変化
Ⅲ 民主主義崇拝の悪影響
Ⅳ 民主主義の不調に対する薬
Ⅴ ポピュリズムとガヴァナンス(統治)
Ⅵ 新しい権威主義
結論
訳者あとがき
参考文献
付表