出版社を探す

父 水上勉[新装版]

著:窪島 誠一郎

紙版

内容紹介

文豪の魅力を描く評伝を超えた評伝

 日本の近代文学史上、稀代の私小説作家として知られ、数々のベストセラーを生んだ水上勉の生涯が、実子の目をとおして語られる傑作評伝。戦没画家の作品展示で知られる「無言館」館主が、父である文豪の魅力を描き出す。
 水上勉は小説家を志して福井から上京。転職を重ねながらもやがてある女性と同棲し、一子をもうける。わけあって父母は幼な子を養子に出すことになるのだが、その子こそ著者だったのである。
 著者は、戦後30余年を経て「父」と奇跡の再会を果たす。20年かけて実父を捜し歩いた記録はテレビの連続ドラマでも放映され、感動的な物語としてよく知られるところになった。早い話、父母から捨てられた形ではあったが、著者は「父」を許すどころか、敬意をもって接することとなるのだった──。
 本書は〈わたしは父親の真実を知りたいという欲求におそわれる。その「人」に惹かれる。何とかして、その「人」を知りたいと思う〉という著者の強い意欲のたまもので、丹念な資料収集や作品の精読はもとより、「父」との対話を通じ、評伝を超えた評伝の姿を見せている。

著者略歴

著:窪島 誠一郎
1941年東京生まれ。印刷工、酒場経営などを経て1964年、小劇場の草分け「キッド・アイラック・アート・ホール」を設立。1979年、長野県上田市に夭折画家の素描を展示する「信濃デッサン館」を創設。1997年、隣接地に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を開設。2005年、「無言館」の活動により第53回菊池寛賞受賞。おもな著書に『「無言館」ものがたり』(第46回産経児童出版文化賞)、『鼎と槐多』(第14回地方出版文化功労賞)、『「無言館」への旅』、『粗餐礼讃 私の「戦後」食卓日記』『母ふたり』など。

ISBN:9784560099001
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:350ページ
定価:2900円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ