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ことばを紡ぐための哲学

東大駒場・現代思想講義

編著:中島 隆博
編著:石井 剛

紙版

内容紹介

ことばの過剰に抗して

 いま世界を覆っているのは、真実の声をかき消すほどの過剰なことばの氾濫である。インターネットでSNSを開くと、そこには匿名性をいいことに罵詈雑言が溢れ、次々に「炎上」が起こり、敵が敵を生んでいく。ことばへの応接はかつてないほど困難を極めている。
 本書は、東京大学教養学部で行なわれた講義「グローバル化時代の現代思想」をもとにしている。きっかけは、2011年の東日本大震災と原発事故だった。
 この災害を近代の必然ととらえたとき、「人文学」はいかなるあり方が可能なのか? 日常の感覚から思考を再出発し、学問の世界にもう一度、人間を取りもどすこと――その試みが本書ということになる。
 食べる、味わう、話す、聞く、触れる、知る、分ける、待つ、耐える、歌う、忘れる、書く、隠れる……
 ことばの過剰と氾濫から解放されたとき、近代社会が忘れた行為が恢復していく。福澤諭吉が軽んじた「味わう」という行為、「待つ」ことの背後にあった世界の持続、まだ「歌う」ことはできるのかという根源的問い、「隠れる」ことが孕む可能性。ともに生きる自由への珠玉の講義録。

著者略歴

編著:中島 隆博
【中島隆博】1964年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、東京大学東洋文化研究所教授。主な著書に『共生のプラクシス』(東京大学出版会、和辻哲郎文化賞受賞)、『悪の哲学』(筑摩書房)、『思想としての言語』(岩波書店)、『日本を解き放つ』(共著、東京大学出版会)他。【石井剛】1968年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。主な著書に『戴震と中国近代哲学』(知泉書館)、『分断された時代を生きる』(共著、白水社)他。

ISBN:9784560096734
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:216ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDX
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:DSRC