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フランクフルト学派と批判理論

〈疎外〉と〈物象化〉の現代的地平

著:スティーブン・エリック・ブロナー
訳:小田 透

紙版

内容紹介

「解放の思想」の原点へ

 「批判理論」は、1920年代から30年代にかけて、フランクフルトの社会研究所に集まった思想家たちによって打ち立てられた。所長をつとめたホルクハイマー以下、アドルノ、フロム、マルクーゼ、ベンヤミン、ハーバーマスと、その名を挙げていけば、そこに20世紀社会科学の荘厳な群像劇が立ち現れる。
 彼らの活動が「批判理論」としてではなく「フランクフルト学派」として記憶されたことが本書の大きな出発点になっている。社会をトータルに対象化し、新たな解放の思想を提示する「批判」という手法は、自家中毒をおこして(否定弁証法)、解体してしまったのではないかという問題意識である。
 フランクフルト学派から批判理論へ――。これが本書の大きな柱となる。そこで浮上してくるのは、人物ではなく概念だ。とりわけ、「疎外」と「物象化」に大きな光が当てられる。
 批判理論はそもそもプロレタリアートのための「解放の思想」であり、実践と結びついて意味がある。このため本書では「疎外」も「物象化」も簡潔に定義され、読者が現実に立ち向かうための武器として与えられる。閉塞感深まる日本を捉える一冊。

著者略歴

訳:小田 透
1980年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。カリフォルニア大学アーバイン校で博士号取得。静岡県立大学非常勤講師。主な訳書に『エマ・ゴールドマン自伝』(小田光雄との共訳、ぱる出版)。

ISBN:9784560096543
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:200ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2018年10月
発売日:2018年10月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB