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引き裂かれた大地

中東に生きる六人の物語

著:スコット・アンダーソン
訳:貫洞 欣寛

紙版

内容紹介

中東を動かす陰の原理と人びとの息遣い

 中東での混乱を伝える報道を目にしても、カラシニコフ銃を握りしめたひげ面の男やヴェールの奥で泣き叫ぶ女性の映像から、現地の人びとが何に悩み、喜び、どんな誇りを内に秘めて生きているのか想像することは難しい。
 本書は、イラク戦争と「アラブの春」以降、中東で起きた惨事を市井の人びとの視点から克明に描き、アラブ世界が分裂していく歴史的過程を論じたノンフィクションである。登場するのはエジプト、リビア、シリア、イラク、クルディスタンに暮らす六人――息子が投獄された数学者、スパイ行為を命じられた空軍士官候補生、処刑寸前に命拾いした大学生、ISに参加した日雇い労働者、対ISの戦闘に加わった医師、武装勢力にねらわれ故郷を追われた女性活動家――だ。断続的に綴られる彼らの物語を通じて、中東を動かす陰の原理と、戦火の中に生きる人びとの息遣いが鮮やかに浮かび上がってくる。
 『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』のJ・シルバースタイン編集長は「中東問題を描いた作品のなかでもっとも明敏で、力強く、そして人間性に溢れている」と絶賛。欧米主要紙誌で称賛の声が相次いだ。

著者略歴

著:スコット・アンダーソン
レバノン、イスラエル、エジプト、北アイルランド、チェチェン、スーダン、ボスニア、エルサルバドルなど、戦乱に引き裂かれた多くの国々から報道を続けてきた、経験豊富な戦場特派員。The New York Times Magazineのほか、Vanity Fair、Esquire、Harper’s、Outsideなどに寄稿している。著書に、小説Moonlight Hotel、 Triageのほか、ノンフィクション作品として『ロレンスがいたアラビア(上下)』(白水社)、The Man Who Tried to Save the World、The 4 O'Clock Murders、兄弟のジョン・リー・アンダーソンとの共著War Zones、『インサイド・ザ・リーグ』(社会思想社)がある。
訳:貫洞 欣寛
1970年、広島市生まれ。1994年に朝日新聞社に入社。社会部、国際報道部、中東アフリカ総局員(カイロ)勤務などを経て、2014年から16年までニューデリー支局長。2016年11月に退社し、フリージャーナリストとしてインドなどを取材。2018年2月、BuzzFeed Japan株式会社に入社、ニュースエディターに就任。著書(近刊)に『沸騰インド』(白水社)がある。

ISBN:9784560096338
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:250ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2018年07月
発売日:2018年07月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS