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地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 関西1 阪神・阪急・京阪

著:今尾 恵介

紙版

内容紹介

新しいライフスタイルの誕生
 日本初のインターアーバン(都市間高速鉄道)として知られる阪神電気鉄道は、1時間は待たねばならない官営鉄道に対し、住宅地にこまめに駅を設置し、運賃を安くすることで、鉄道利用という新たな需要を喚起していく。「たまにはおめかしして大阪や神戸へお買い物」というライフスタイルがこのころ生まれた。
 阪急電鉄は、専務・小林一三のもと、温泉や少女歌劇、遊園地などとともに、沿線の住宅地開発に力を入れる。また、ターミナルデパートの建設などの取り組みで、阪神との熾烈な乗客獲得合戦を繰り広げていく。
 大大阪市誕生で東京市を抜き、日本一の大都市となったこの地は、沿線人口急増に苦しんでいた。そのようななか京阪電気鉄道は大阪・天満橋と京都・五条をノンストップで結ぶ、日本最初の急行運転をおこなう。一両編成運転が当たり前の時代に二両連結の申請をし、複々線化を実行に移すなど、将来を見据えた大胆な先行投資で当局を驚かせた。
 関東の私鉄をはじめ、日本全国の鉄道に多大な影響を及ぼしたこの3社の歩みを、鉄道や軌道に関する公文書と各時代の地形図を合わせて眺めることで、近代日本の姿がはっきりと浮かび上がる。掲載地図はすべてフルカラー。

著者略歴

著:今尾 恵介
1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・地名・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。現在、(一財)日本地図センター客員研究員、(財)地図情報センター評議員、日本国際地図学会評議員。著書は『日本鉄道旅行地図帳』、『日本鉄道旅行歴史地図帳』(いずれも監修)、『地図で読む戦争の時代』『地図で読む昭和の日本』『白水Uブックス 地図で読む世界と日本』、『日本地図のたのしみ』、『日本の地名遺産』、『地図の遊び方』、『路面電車』、『地形図でたどる鉄道史(東日本編・西日本編)』など多数。

ISBN:9784560095454
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:340ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2017年03月
発売日:2017年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TRF