魔法の夜
著:スティーヴン・ミルハウザー
訳:柴田 元幸
紙版
内容紹介
月の光でお読みください。
夏の夜更け、アメリカ東海岸の海辺の町、眠らずに過ごす、さまざまな境遇の男女がいる。
何を求めているかもわからず、落ち着かない14歳の少女、ひとつの小説を長年書きつづけている39歳の男、その男を優しく見守る60代の女性、マネキン人形を恋い慕うロマンチストの酔っ払い、仮面を着けて家屋に忍び込む少女たちの一団……ほぼ満月の光に照らされ、町なかをさまよう人びとの軌跡が交叉し、屋根裏部屋の人形たちが目を覚ます……。
ミルハウザーの9作目(1999年発表)にあたるこの中篇小説は、格好の「ミルハウザー入門」といえるだろう。短い章を数多く積み重ねながら、多様な人間模様と情景を緻密に描写することによって、「小宇宙」全体の空気を浮かび上がらせる手法は、作家の得意とするところ。まさに作家の神髄が凝縮された作品で、余韻は深く、心に重く響く。
ミルハウザー初心者の読者には好適であるとともに、熱心なミルハウザー愛好者にも堪能していただける傑作中篇だ。
「訳者あとがき」に柴田元幸氏による「注」を付した。カバー装画は画家の牛尾篤氏。
ISBN:9784560092415
。出版社:白水社
。判型:4-6変
。ページ数:190ページ
。定価:2100円(本体)
。発行年月日:2016年05月
。発売日:2016年05月23日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB。